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2012年3月14日
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木村盛世

現役キャリア技官が問う【後編】
科学的根拠なき政策が
被害を拡大させている

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原発事故後の政府の対応を見ると、そのお粗末な実態が各方面から明らかになっている。国家的な危機に直面しても、なぜ十分な対策ができなかったのか。そこには、科学的根拠に基づかない政策の実施があるという。科学的根拠なき政策によって、どのような事態が起こるのか。

原発事故による健康被害は
悪くなっている!

 物理的に見れば、福島原発の状況は徐々に改善していると思われます。しかし、原発事故による健康被害という観点から見れば、事態は何も改善されていないどころか、むしろ悪くなっているとしかいえません。

 それは、最も多くの放射線が降り注いだ3月、4月の時期に、なんの対処もせず、その後の調査も不十分で、今後増加してくると予想されるがん発生などの健康被害に対して、何もしていないに等しいからです。

 とくに、大人と比較して放射線に感受性が高い小さな子供たちへの影響について、政府の対応はあまりにお粗末です。

 この状況を見ていて、過去に起こった健康問題である「新型インフルエンザ」などへの対応と基本がまったく同じであると思いました。

 皆さんは、「危機管理」という言葉から何を連想しますか。ガスマスクをつけて、テロに対抗する機動隊でしょうか。それとも、黄色い防護服を着て、空港を闊歩する検疫官の姿でしょうか。

 私は「危機管理とはなんですか」と聞かれたら、最悪の事態を考えることが基本である、と答えます。そして、その「最悪の事態」とは、国家の存亡という立場から考えた場合の最悪のシナリオ(どんなに最悪を考えたとしても、それ以上に悪い状況はありますが)です。

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木村盛世

医師、厚生労働医系技官。筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了(MPH、公衆衛生学修士号)。優れた研究者に贈られる、ジョンズ・ホプキンス大学デルタオメガスカラーシップを受賞する。内科医として勤務後、公衆衛生の道へ。米国CDC(疾病予防管理センター)多施設研究プロジェクトコーディネイターを経て帰国。財団法人結核予防会に勤務。その後、厚生労働省入省。大臣官房統計情報部を経て、現在は厚労省検疫官。専門は感染症疫学。「TVタックル」などに出演し、厚労省内部から杜撰な厚生行政の実態を告発している。著書に『厚生労働省崩壊』『厚労省と新型インフルエンザ』(講談社)、『辞めたいと思っているあなたへ』(PHP研究所)などがある。


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