それでも労働法の改正はハードルが高い

 労働法を改正しようという動きもあります。

 とくにホワイトカラーと呼ばれる職種はブルーカラー(工場労働者)とは異なり、個々のペースで仕事を進め、その成果が評価されるべき仕事です。

 たとえば定時に出社して深夜まで残業しているけれどもまったく結果を出せない人と、会社にいる時間は短いけれども確実に成果を上げる人がいたら、後者のほうが高い評価を得られるのは当然でしょう。

 にもかかわらず、労働基準法に従って時給と労働時間の単純かけ算で給料を計算すると、前者のほうが高い年収が得られるのです。給料を払う側の使用者からすれば、これほどおかしな話はありません。

 そこで2007年、一定の年収以上のホワイトカラー労働者については労働時間の規制を免除、緩和しようというホワイトカラー・エグゼンプション(ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度)の導入が検討されました。

 しかし全労連、連合、全労協などの労働団体は、残業代カットを認める法律としてこれを「過労死促進法案」だと強く批判し、マスコミも「残業代ゼロ法案」などと大きく取り上げたのです。

 こうした動きを受け、政府はホワイトカラー・エグゼンプションの導入を断念しました。有権者の大部分を占める労働者を敵にまわしてまで、この制度を導入したいと考える政治家はいなかったのでしょう。

 その結果、「労働者の立場は弱い」という労働法の画一的な考え方が、未だに適用されているのです。
 


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