旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理
【第17回】 2012年3月16日 車 浮代

祝いの席に欠かせない“目出度い”魚、
「鯛」は味良し、体にも良し

 春――。

 産卵のため、身体に朱をはらませて北上してくる真鯛のことを、季節と色にかけて「桜鯛」と呼びます。

 鯛が赤くなる理由は、大量の海老を食べるからで、海老の殻に含まれる色素・アスタキサンチンが鯛の身体に影響するからだと言われています。

 鯛は「目出度い」に通じ、縁起の良い語呂合わせになる上(鯛の語源は「平魚《たいらうお》」から、との説が有力ですが、ヒラメやカレイならともかく、鯛の形が平らかどうか、少し疑問が残ります)、脂の乗り切った桜鯛は味も極上。

 古代から赤を神聖視してきた日本人は、祝いの席には欠かせないものとして、鯛……特に桜鯛を重用してきました。

 その反対に、産卵を終えてやせ細った初夏の鯛は、麦が色づく時期であることから「麦藁鯛《むぎわらだい》」と呼ばれ、価値がぐんと下がります。

 ただし、鯛の回復力はすさまじく、すぐにまた餌をたっぷり食べて、色つやの良い元気な鯛に戻ります。

 我々人類も、見習いたいものですね。

鯛のあら煮
【材料】鯛のあら…1尾分/酒…適量(鍋のサイズに合わせる)/砂糖…大さじ3/醤油…大さじ3/みりん…大さじ1
【作り方】①鯛のあらは流水でざっと洗い、ボウルに入れて、あらが浸るぐらいの熱湯を注ぎ、霜降り状態になったら再び流水に当て、ウロコや血合いをきれいに洗い落とす。②鍋に鯛のあらを並べ、2/3が浸るくらいの料理酒と砂糖を入れ、強火にかける。③アクを取りながら煮て、火が通ったら醤油をかけまわし、弱火にして煮汁をあらにかけながら、汁気がほぼなくなるまで煮る。最後にみりんを入れて照りをつける。※お好みで、生姜やゴボウ、焼きねぎなどと一緒に煮てもおいしいです。

江戸時代には、99種類もの
鯛レシピが載った本も発売

 鯛の濃厚なうまみの正体は、イノシン酸やグルタミン酸、タウリンなどのアミノ酸です。

 これらのアミノ酸は分解されにくく、また鯛は脂肪が少ないといった理由から、うまみが持続し、臭みが出にくいのです。

「腐っても鯛」ということわざがありますが、時間が経っても味が落ちにくい点からきていたのですね。

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旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理

栄養価の高い旬の食材を、あまり手を加えずにいただく――。これが江戸料理の醍醐味であり、健康長寿につながる正しい食のあり方だと思います。このコラムでは、江戸料理と健康をテーマに、食材ごとの情報とレシピをご紹介していきます。

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