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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

トップマネジメントとは
一人ではなくチームによる仕事である

上田惇生
【第281回】 2012年3月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2520円(税込)

 「あらゆる組織にとってトップマネジメントの機能は不可欠である。しかし、トップマネジメントが行なうべき具体的な仕事は、組織によって異なる。仕事の種類は同じでも、具体的な内容は個々の組織それぞれに特有である。それぞれの組織の目的、目標、戦略、活動によって異なる」(ドラッカー名著集(15)『マネジメント―課題、責任、実践』[下])

 ドラッカーは、こう言う。「問題はトップマネジメントとは何かではない。組織の成功と存続に致命的に重要な意味を持ち、かつトップマネジメントだけが行ないうる仕事は何かである」。

 致命的に重要でありながら、トップだけが行なえることとは何か。トップであるということは、トップの地位にあるということである。トップの地位にあれば、全体が見える。行く先が見える。トップに特別の能力があるからではない。ほとんど誰でも、そこに座れば見えてくるというものがある。

 だからこそトップは、組織全体の方向づけができる。緊急時に指示することができる。しかもトップには、接触すべき諸々の関係者がいる。重要顧客との関係がある。政府当局との関係がある。メディアや地域との関係がある。おまけに諸々のセレモニーまである。とても体一つでは身が持たない。

 事業部長は、事業部の全体が見える。事業部の行く先が見える。したがって、事業部の方向づけができる。しかし、いかに優秀な事業部長といえども、会社全体について、これらを行なうことはできない。本人の能力や資質の問題ではない。座っている場所の問題である。

 ところが、それらトップだけが行なえる仕事のほとんどは、連日取り組んでいかなければならないという性格のものではない。そこで、ドラッカーが引き出す結論が、チームとしてのトップマネジメントの編成である。

 「トップマネジメントの役割が、なすべきこととしては常に存在していながら、仕事としては常に存在しているわけではないという事実と、それが多様な能力と資質を要求しているという事実とが、トップマネジメントの役割のすべてを複数の人間に割り当てることを必須にする。さもなければ、致命的に重要な仕事が放置されたままとなる」(『マネジメント』[下])

週刊ダイヤモンド

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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