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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の12 「尾生・孝己の行ありて、而して勝負の数に益なくば、陛下なんぞこれを用うるに暇あらんや」
(史記・陳丞相世家)
真面目な社員が会社を滅ぼす。社員は不真面目たれ

江上 剛 [作家]
【第12回】 2012年3月27日
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 会社に勤務する人は、真面目に限ると思っている人は多い。まあ、当然のことだ。私の両親だって、私が銀行に就職することが決まると、「真面目にやれ」とだけ言った。真面目に働けば、必ず報われるからということを信仰しているのだ。

 普通は、この信仰で間違いない。

 しかし、最近、いろいろと起きる経済事件を見ていると、真面目な社員が会社を潰すんじゃないかと思わざるを得ない。

上司の指示に従った挙句が……

 例えばオリンパス事件。バブル時代に積み上がった含み損を、金融コンサルタントのアドバイスの言うなりに飛ばし続けてしまったというものだ。その報いは、アドバイスをした金融コンサルタントは言うにおよばず、歴代の経営者や監査役が逮捕されてしまうという事態として現れた。

 この事件と同じように会社の不正を飛ばし続けたのは、第一勧銀総会屋事件や山一証券含み損飛ばし事件だ。

 私は、たまたま第一勧銀総会屋事件に関わり合いを持ったから言えることだが、もう少し不真面目な行員はいなかったのかと、今さらながら残念でならない。

 私の知っている範囲で言うと、総会屋など不逞の輩に対する融資の実務には、多くの行員が関与していた。悪いことだと知っていたのだろう。支店長らは融資を行うに当たって、本部の審査部長や総務部長のお墨付きを欲しいと要求し、中身の無い融資申請書にそれをまるで護符のように添付していた。またある行員は、大蔵省検査に対する虚偽の説明を命じられ、命じられるままに虚偽の説明をして、得意げに担当役員に「上手く行きました」と報告した。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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