日本のメガバンクに迫りくる<br />買収バブルのタイムリミット三井住友銀行など3メガバンクには資産売却の打診が殺到しているが……

 日本のメガバンクに降って湧いた海外急拡大の千載一遇の好機が終わろうとしている。

 昨年来、欧州債務危機の深刻化で、財務内容の悪化した欧州系銀行から邦銀に資産売却の打診が殺到。その額、実に10兆円を超すともいわれ、買収バブルの様相を呈していた。

 実際、三井住友銀行が英金融大手RBSからリース事業を買収するなど、国際金融市場における邦銀の存在感は確実に高まっている。

 ただ、邦銀の本命は、「仏大手BNPパリバなどの欧州銀が傘下に持つ米国の優良地方銀行」(メガバンク幹部)。利ざやが厚く、規制に縛られ過熱感もあるアジアの金融機関よりもうまみが大きいからだが、それらの買収はこのままでは夢と消えそうだ。

 欧州中央銀行が打ち出した資金供給オペなどが奏功し、欧州銀は傘下の米地銀など虎の子の資産を切り売りしなくとも、生き残れる公算が大きくなっているのだ。

 そこでにわかに注目が集まっているのが、米国の独立系の中堅地銀。サブプライムローンの処理問題などで依然として苦境が続くため、米大手金融幹部は「邦銀による資本出資の可能性は十分ある」と指摘する。

 しかし、サブプライムローンの処理にめどが付けば、米地銀は息を吹き返す。あるメガバンクはその時期が来年度の第1~2四半期と見通す。

 3メガバンクはいずれも、海外収益の拡大を成長戦略の柱に据える。ただ、中にはアジアに固執する本部と米国重視の国際部門とが対立するところもある。

 念願の大型投資をまとめられるか。残された時間はそう多くない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)

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