ピーター・センゲ

 ピーター・センゲは、クリス・アージリスとドナルド・シェーンが最初に提唱した「学習する組織」という理論を世に広めた人物で、複雑性や変化が加速する世界に組織がどのように適応しているかを研究した。彼の研究は、『最強組織の法則』(The Fifth Discipline)に結実した。

人生と業績

 ピーター・センゲは、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の組織学習センターの責任者である。彼はスタンフォード大学で工学を学んだ後、MITで社会システムのモデリングに関する博士課程研究を行なった。

 センゲは長年にわたり、複雑性や変化が加速する世の中で企業やその他の組織がどのように適応しているのかを研究したが、彼の著書『最強組織の法則』(The Fifth Discipline)の成功が「学習する組織」の概念を世に広めることになった。

 1990年に発表された『最強組織の法則』によって、この控えめな人物に世界の目が向けられるようになった。気がつけば彼は、アメリカの、いや世界中のビジネス界を非常な困難にもかかわらず劇的に変化させようとしている、中世の十字軍兵士の現代版とでもいうべき存在になっていた。

 センゲのメッセージはシンプルだ。すなわち、学習する組織においては、競争優位は個人と集団の両方の継続的学習から生まれる。さらに、情報化時代の到来により、企業だけでなく、教育団体や政府組織も抜本的に変貌することが求められている。

 センゲの思想は理想主義的ではあるが、彼の組織学習センターには豪華な顔ぶれの企業がスポンサーとして名を連ねており、試験プログラムに莫大な資金を投資している。センゲは自分を「理想主義的な現実主義者」と呼び、企業や教育機関や政界のリーダーたちとともに学習する組織をつくり上げるのに多くの時間を割いている。