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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

トップの役割はイノベーションのための
風土を醸成すること

上田惇生
【第283回】 2012年4月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2520円(税込)

 「イノベーションとは姿勢であり、行動である。特に、それはトップマネジメントの姿勢であり、行動である。イノベーションを行なう組織では、トップマネジメントの役割が違う」(ドラッカー名著集(15)『マネジメント―課題、責任、実践』[下])

 組織内に存在する変化への抵抗こそ、長いあいだマネジメント上の大問題の一つとされてきた。しかし、問題がどれだけ解決されたかというと、はなはだ疑問である。ドラッカーは、そもそも問題への取り組み方が間違っていたという。

 問題とすべきは、いかにして変化に対する抵抗を除去するかではなく、いかにして変化を当然と受け止めてそれを機会に転じるような風土を醸成するかだった。

 ほとんどの組織において、トップマネジメントは、最高裁判所を自認している。しかも、その拒否権を、自らが持つ最も重要な権限と位置づけている。つまり、検討し尽くされていない考えや提案に対しては、ノーと言うことが自分たちの役割だと思っている。はなはだしい間違いである。

 ドラッカーは、イノベーションを行なうには、トップマネジメントの役割は、この逆でなければならないという。

 トップの役割は、生煮えの非現実的なアイデアを具体化することにある。しかも、優れたアイデアというものは、常に生煮えで非現実的であることを肝に銘じておかなければならない。

 ドラッカーはこう言う。「一つの優れたアイデアを手にするには、多くのばかげたアイデアが必要である。イノベーションの早い段階では、両者を識別する手立てはない。あらゆるアイデアが、実現性のないばかげたものに見え、同時に素晴らしいものに見える」。

 当然、イノベーションにおけるトップの役割は、アイデアを奨励し、出てきたアイデアを現実のものにするためにはどうするかを考え、先頭に立って、それを実行することでなければならない。

 トップたる者、少なくとも、あらゆるアイデアを、実現の可能性を評価できるところまで煮詰めさせなければならない。

 「イノベーションを行なう組織となるためには、トップマネジメント自身がイノベーションの推進役となる必要がある」(『マネジメント』[下])

週刊ダイヤモンド

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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