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高橋潔 「脱」ガラパゴス人事

【新連載】
新卒一括採用の呪縛を解く
面接を捨てる覚悟

高橋 潔 [神戸大学大学院経営学研究科教授]
【第1回】 2012年4月16日
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もっとも浪費が激しいのは人的資源

 日本型人事がガラパゴス化している。日本国内で独自の進化を遂げ、世界標準から遠く掛け離れてしまう現象は、「ガラパゴス化」と呼ばれている。英語では「ガラパゴサイゼーション」という表現をあまり聞かない。だから、外国人に話をしてもまったく通じず、イグアナでも見るような目つきをされて困ってしまう。よく知られたケースは携帯電話だが、人事の現場でもその現象が広がっているようだ。

 ボストン・コンサルティング・グループ日本支社代表や上智大学教授などとして、なにかと日本と縁の深いジェームズ・C・アベグレンは、フォード財団の研究員として1955年に来日し、わが国の工場の労使関係を調査して、『日本の経営』(1958年 ダイヤモンド社)を表した。そのなかで、日本型の労使関係の特徴を、(1)終身雇用、(2)年功制、(3)企業別組合の三つから切り取って見せた。いわゆる「三種の神器」というものである。本サイト訪問者の多くにとっては、生まれる前のことなのでどうもピンとこないかもしれないが、いまも日本的経営を特徴づけている(と信じられている)。

 雇用と処遇と組合の問題を扱うのがオリジナルの日本的経営だった。それが、新規学卒者の一括採用、年次によるキャリア管理、処遇に直結しない人事評価、OJT偏重の人材育成、遅い昇進と幅広い異動など、さまざまに形を変えて発展を遂げ、日本的人事制度の独自の特徴となった。日本型の人的資源管理のポリシーが、長らくの人事鎖国状態の下で進化し、見事にガラパゴス化してしまったのだ。だが、グローバル時代には、それがかえって足かせとなっている。

 天然資源や金融資源などを含めたさまざまなリソースのなかで、「もっとも浪費が激しいのは人的資源である」と警鐘を鳴らしたのは、教育評論家のケン・ロビンソン卿だ。資源の少ないわが国でも、人材は豊かだと考えられてきたので、人的資源の浪費癖には無頓着になっている。

 競争優位性の元となる人材の姿を、「無口で腕のいい職人」とか「従順で素直な職員」などとして、企業や社会が固定的にとらえてきたために、人材の積極的な活用を怠り、長らく塩漬けにしてしまう。

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高橋 潔 [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1984年慶應義塾大学文学部卒業、1996年米国ミネソタ大学(University of Minnesota)経営大学院博士課程修了(Ph.D.)。南山大学総合政策学部助教授などを経て、現在,神戸大学大学院経営学研究科教授。専門は産業心理学と組織行動論。経営と人事管理に関連した事象を心理学的なアプローチから研究している。主な著書に『〈先取り志向〉の組織心理学―プロアクティブ行動と組織』(有斐閣・分担執筆)、『人事評価の総合科学―努力と能力と行動の評価』(白桃書房)、『Jリーグの行動科学―リーダーシップとキャリアのための教訓』(白桃書房 編著)など。


高橋潔 「脱」ガラパゴス人事

日本企業の人事制度・人事施策を別の視点から考え直す。それが本連載の目的だ。これまで、長期の雇用と年齢にともなった処遇を旨としてきた日本の組織。それが、グローバル時代に通用しなくなってきた。たとえば、新規学卒者の一括採用、年次によるキャリア管理、処遇に直結しない人事評価、OJT偏重の人材育成、遅い昇進と幅広い異動など。これを象徴的に「ガラパゴス人事」と呼んでみよう。日本の組織で特有に生まれた人事の仕組みについて、ミクロの視点から鋭く切り込んでいく。また、グローバル展開を目指す組織にとって、現状の問題点をあぶりだす目と、変革のための示唆を与えていく。

「高橋潔 「脱」ガラパゴス人事」

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