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日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男

日系企業に春が来た?!今こそ勝負をかけろ!
「効率経営」を武器に中国企業を利用すべし

江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]
【第71回】 2012年4月17日
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中国企業にある強力なブレーキは
野心的で無謀な経営を可能にした

 今や多くの日系企業が進出している中国市場。大手有名企業から中小企業までさまざまな日系企業がしのぎを削っている。

 しかしながら、中国市場でトップシェアを取れている日系企業は、ごくわずかだ。そして、その少数の成功している日系企業ですら、中国ローカル企業や韓国企業にトップの座を脅かされている。

 なぜ日系企業は、中国でこうも勝てないのだろうか?

 もちろん様々な要因が関係しているのだが、その根本的な理由は「効率を最優先する日本式経営スタイル」にあると私は考えている。「成功することよりも、失敗しないことを心がける」、「得点を狙うよりも、失点を防ぐ」、「販売機会損失よりも、在庫リスク最小化を優先する」、「事業拡大よりも(過度に)直近の利益を優先する」と言い換えてもよいかもしれない。

 一方で中国ローカル企業は、「チャンスを逃さないこと」を最優先にビジネスを進めてきた。とりあえず営業拠点や店舗数を増やし、売れない可能性もあるが、売れるかもしれない商品をたくさん店頭に並べ、売上を拡大してきた。

 「売る前に検討に検討を重ねて、売れる可能性の高い商品だけを厳選して市場に出す」という日系企業とは違い、「商品が売れるかどうかは、実際に客に見せてみないと分からない」という考え方をする。とりあえず商品を市場に投入し、結果がでなければ、商品、店舗だけでなくビジネスそのものでさえもスパッと捨てるという作戦だ。

 ちなみに中国ローカル企業は、「人材」も商品と同じように扱う。例えば、競合企業から2倍の給与で人材を引き抜き、結果が出なければすぐにクビにする。そんなことが当たり前に起こる。私も、破格の条件を提示されて中国ローカル企業に転職したものの、結果がでずに1年も経たずにクビなった日本人を何人も知っている。

 このビジネスや人に対する見切りの早さは、中国ローカル企業特有の強力な「ブレーキ」だと言える。このブレーキがあるからこそ、中国ローカル企業は、最初からエンジン全開、アクセルベタ踏みで事業を進めていけるのだ。

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江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]

1970年、神奈川県横須賀市生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科修了、Tuck School of Business at Dartmouth MBA。Booz & Company, Accentureなどの経営コンサルティング会社、子供服アパレル大手のナルミヤ・インターナショナルを経て、中国にて起業。上海外安伊企業管理諮詞有限公司(Y&E Consulting)、(株)MA PARTNERSの創業経営者でもある。
⇒GML上海ホームページ執筆者へのメール


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世界経済の牽引役として注目を浴びる中国に進出する日本企業は、後を絶たない。だが、両国の間に横たわる「ビジネスの壁」は想像以上に厚い。今や「世界一シビアな経済大国」となった中国で日本企業が成功するためのノウハウを、現地コンサルタントが徹底指南する。

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