5000社を訪問し、5500人の経営者に会ってきました

藤野   日経平均は、日本を代表する225銘柄で構成されるインデックスですけど、日経平均やTOPIXのパフォーマンスが悪い理由は、インデックスの中でウエイトが高い大型株が足を引っ張っているからなんですよ。

藤沢  じり貧の日本の株式市場の中で、ダーツで買う銘柄を選んでいたら儲かっていたというのは面白いですね。時価総額の大きい大型株よりも、時価総額の小さい小型株の方が統計的にはパフォーマンスがいい、というのはアカデミックなファイナンスの研究でもよく知られている現象で、「小型株効果」などとよばれています。日本の過去10年は、まさにそれが当てはまったみたいですね。小型株効果は効率的市場仮説、つまり株価は全ての利用可能な情報を織り込み常に適正価格がついているという仮説に反することなのか、それとも小型株特有のなんらかのリスクを取っていることに対する報酬(プレミアム)なのか、いろいろと議論されています。

 藤野さんは、日本に3000銘柄もある中小型株の中から、これはという成長株を見つけていくのが基本的な戦略ということですね。

藤野  そうです。私は今までに5000社を訪問し、5500人の経営者に実際に会ってきました。もちろん社員ですら自分の会社のことがわかっていないのに、一度や二度会社訪問しただけで何かがわかるとは思っていません。しかし『スリッパの法則』にも書いたように、その会社の雰囲気というか匂いみたいなものを実際に感じるのは、ただ机の上で数字をこねくり回しているのとは違うと思います。そこが私の強みだと思っています。

 経営者が情熱を持っているのか、それとも現状に満足してしまっているのか、実際に会って話してみると、いろいろとわかってくることも多いのですよ。