「廃案追及路線」の結果、第二次安倍政権で与党側の重要法案をほぼ無修正で通してきてしまった野党に、変化の兆しがあります。Photo:PIXTA

 通常国会が会期末を迎えた。「働き方改革法」、「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法」「成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法」などが成立し、米国を除く11ヵ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)を承認した。

 一方、昨年に引き続き、「森友学園」(本連載第178回)や「加計学園」(第158回)の問題で、野党が安倍晋三首相の関与を厳しく追及した。しかし、野党は審議拒否で国会を「18連休」しても国民の支持を得ることができず、安倍政権を追い込めなかった(第185回)。

 今回は、この通常国会だけではなく、安倍政権下での6年間の国会を振り返り、日本政治の変化とこれからの国会のあり方を考える。

第二次安倍政権の国会審議を振り返る(1)
「特定秘密法」「安保法制」「テロ等準備罪法」

 第二次安倍政権は、様々な重要課題を通してきた。「特定秘密保護法(2013年)」(第72回)、「安全保障法制(2015年)」(第115回)、「テロ等準備罪(共謀罪)法(2017年)」(第160回)、そして今国会で成立した「働き方改革法」(第177回)「IR実施法」などである。

 これらは、法案審議で、維新の会など一部の保守系を除く、旧民進党(現在、立憲民主党、国民民主党、無所属の会など)、社民党、共産党の「左派系野党」が、法案を徹底的に批判し、審議拒否したあげく、与野党間の協議が行われず、ほぼ無修正のまま強行採決で成立したという共通点がある。

 左派系野党が、これらの法案に猛反対した理由は、「法律が通った後のリスク」だったことも共通している。例えば「特定秘密保護法」では、左派系野党はジャーナリストや市民の取材行為が、情報漏洩で強制調査の対象となる可能性があると指摘した。そして、ジャーナリストや市民が必ず委縮し、政権批判を手控えるようになると訴えた(第72回・P.2)。