ゼネラル・エレクトリック(GE)がいま、苦境にあえいでいる。ダウ工業株30種平均が発足して以来、唯一初期から名を連ねていたが、その歴史に終止符が打たれた。かつてのIBMのように、GEが復活を遂げる可能性は十分にある。しかし、コングロマリット経営を軸とする「GEモデル」が終焉を迎えたことは間違いないと筆者は主張する。本記事では、その“容疑者”と考えられる5つの要因が示される。


 だれがゼネラル・エレクトリック(GE)を終わらせたか。

 もちろん、GEは終わっていない。企業として復活して、繁栄するかもしれない。IBMだって、1990年代の瀕死状態から生き返った。

 だが、「GEモデル」は終わった。それに終焉をもたらした、容疑者のリストは長い。

 GEはコングロマリット(複合企業)として、広範なビジネスを傘下に収めてきた。GEモデルは、純粋な持ち株会社や現代のヘッジファンドとは異なる。1つを除いてすべてが製造業界に根差した事業で、多岐にわたる分野を横断して積極的に技術を共有することで、価値を創出しようとしてきた。

 GEモデルの起源は、少なくともレジナルド・ジョーンズがCEOを務めていた1970年代までさかのぼる。彼が、中央で管理する戦略計画プロセスを導入したのである。このモデルは、1980~90年代にジャック・ウェルチによって磨き上げられ、新たなポートフォリオ再編戦略と金融業への大胆な事業拡大を果たした。ジェフ・イメルトは2000年代、新たな脅威に直面しながらも、同モデルを存続させようと努力した。そして現在、ジョン・フラナリーは、中核事業と比較的関わりの深いものを除いてすべてを売却し、このモデルに終止符を打とうとしている。

 企業戦略家は長い間、GEモデルで価値が創造される仕組みについて議論を交わし、周囲はそれを受け入れてきた。やや単純化すると、その仕組みは次のように説明できる。第1に、GEは規模と市場における支配的地位によって利益を得ていた。第2に、同社は複合的な産業で技術優位性を有しており、事業間で技術を共有することができた。第3に、大規模なポートフォリオによって資金への優先的アクセスが可能になり、単独で事業を行う場合よりも内部での資金配分が容易だった。第4に、同社の強みは、リーダー教育と管理職育成への投資に代表される人材管理のシステムに依拠しているという議論があった。

 GEモデルの成功の要因を何と考えるかによって、終焉をもたらしたとされる容疑者も変わってくる。私が考える主な容疑者は、次の通りである。