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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第28回】 2012年5月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

フレッシュ・シーズンの読書特集
なぜ、人はビジネス書を読むのか?

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ビジネス書を読んで180度変わってしまった医者

 これまで、ビジネス書(ここでいう「ビジネス書」とは、ビジネスのノウハウ本だけではなく、ビジネスパーソンをターゲットに書かれた本全般ということにしておきましょう)を読むことはありませんでした。

 理由は簡単で、「医者はビジネスパーソンではない」と思っていたからです。よくいわれることに、「仕事は慈善事業ではない」という言葉あります。企業であれば業績向上、個人であれば地位や収入のアップが至上命題。「私どもは売上を目的にやっているわけじゃないんです」と本気で考えている社長はいない、ということくらい、私にもわかります。

 でも、医者が“そっち側”、つまりビジネスサイドにいったん足を踏み入れたら、どうなるでしょう。医者にはもともと凝り性の人が多いので、経営の本を読みあさり、やれマーケティングだ、やれクリニックのアメニティー(設備)の改善だ、と夢中になってしまう。

 実際、“トップ営業マンのコミュニケーション術”か何かを読んだのか、それまで無愛想だったのに、突然、「ようこそ、マツダ様。本日はいかがなさいましたか?」と芝居っ気たっぷりの笑顔で患者さんに語りかけるようになった医者も知っています。「それは違うでしょう」と思っていた私は、「ビジネス書なんて読むまい」と心に決めていたのでした。

 とはいえ、書店に行くたびにその一角は気になっていました。文芸書や専門書が売れないといわれる今、ビジネス書の売り場面積はどんどん拡大しているようにも見えます。

 そんなに読まれる「ビジネス書」って何なのか。そこにはどんなことが書いてあるのか……。おっかなびっくり、開いてみることにしました。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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