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デジタル大変革時代 部品メーカーの生きる道

空飛ぶ自動運転タクシーは
どうすれば実用化できるか

PwCコンサルティング
【第5回】 2018年10月31日
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本連載では、部品メーカーがデジタル大変革時代を生き抜くための未来創造について解説している。最終回となる今回は、未来創造活動の最終的なアウトプットとなる「未来創造ロードマップ」の作成について、大手部品メーカーA社の事例を基に解説していく。

未来創造ロードマップとは?

渡辺 智宏(わたなべ ともひろ)
PwCコンサルティング合同会社
シニアマネージャー

大手ITベンダーにて業務/組込みシステム開発、プロジェクトマネジメント、ソフトウェア技術の研究・開発などに携わる。その後、複数の国内外の大手コンサルティングファームを経て現職。製造業のR&D領域における業務効率化、事業・技術戦略立案、新規事業開発、モジュール化、品質改善、プライシング、原価企画、PLMシステム構築などのコンサルティング、セミナーに数多く携わる。主な専門業界は通信・ハイテク、自動車および輸送機器、産業機械、ロボット・FAなど。技術に加えて、マネジメントやビジネスの知見を併せ持つR&D部門への変革を支援する。主な著書に「技術を強みとした新規事業開発の教科書」「製造業R&Dマネジメントの鉄則」など

 未来創造ロードマップ(以下、ロードマップ)とは、未来創造活動で検討してきた将来の事業コンセプトを実現するための具体的な推進計画である。まだ世の中に存在しない市場を創造し、そこに製品・サービスを展開するには、単に新規事業開発の計画を立案・推進するだけでは不十分なケースが多い。必要となる経営資源の獲得、関連する法規制の調査、業界団体への働きかけ、場合によっては世論の形成なども必要になる。これらは、新規事業開発の推進と並行、もしくは先行して行わなければならない。

「筋斗雲(きんとうん)」の未来創造

 A社は、様々な輸送機器に搭載する乗客用シートの開発・生産・販売・アフターサービスを行うメーカーだ。未来創造活動により、次世代の航空機に搭載するシートシステムの事業化を新たに行うことを決めた。

 次世代航空機のコンセプトは「筋斗雲」だ。筋斗雲とは、中国の古典文学である「西遊記」に登場する、空飛ぶ雲の乗り物である。筋斗雲は、呼び出せばすぐに目の前に来て、空を移動し、移動中は操作の必要がない(自動運転)、画期的な個人用航空機だ。具体的には、ドローンと自動運転車を組み合わせた乗り物をイメージするとよいだろう。このコンセプトが20~30年後の未来に実用化されると予測し、筋斗雲に搭載されるシートシステムの事業化を計画している。

 A社は、「筋斗雲」自体の単独での事業化も検討したが、すでに米国シリコンバレーにあるベンチャー企業や、世界各国の大手自動車メーカーなどが、コンセプトの検討や、一部の実証実験を行い始めている。そこで、これまでの自社の強み(輸送機器のシート開発・製造技術)にフォーカスしながら、筋斗雲メーカー(完成機メーカー)と連携して市場を創造していくことを、未来創造活動の中で決めた。

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日本のモノづくりを支えてきた部品メーカーが、デジタル大変革時代に岐路に立たされている。これまでの製品メーカーからの発注を待つ受け身の姿勢を変え、自ら未来を想像する発想の転換と実行態勢の構築が求められるが、具体的な方法論が見いだせない。この状況を打破するためのヒントを提供する。

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