テニスPhoto:PIXTA

 身体を動かしたい季節だ。何か始めようかな、という方にちょっとしたヒントを。

 1975年から続くデンマーク・コペンハーゲン市在住の一般市民を対象とした大規模疫学調査「コペンハーゲン心血管研究(CCHS)」によると、スポーツの種類で延命効果が異なるらしい。

 研究者らは、2万人の参加者のうち91年10月~94年9月に登録した男女から、余暇にスポーツを楽しんでいる8577人の25年分のデータを抽出。スポーツと寿命との関連を解析した。

 対象種目は、(1)ジムでのフィットネス(トレッドミルなど器具を使った有酸素運動やウエートトレーニング)、(2)自重による筋トレや体操──いわゆる徒手体操、(3)ジョギング、(4)水泳、(5)サイクリング、(6)サッカー、(7)バドミントン、(8)テニスの八つ。

 その結果、テニスをしていた人の平均寿命は、「運動不足」の人たちよりも平均9.7年間も長くなったことが判明したのだ。

 テニスに次いで延命効果が高かったのはバドミントンで、平均6.2年、第3位はサッカーで同じく4.7年だった。以下、サイクリング3.7年、水泳3.4年、ジョギング3.2年、徒手体操3.1年と続く。

 意外なことに最も延命効果が低かったのは、フィットネスで1.5年だった。しかも、ジムで費やされる時間は8種目中、最も長かったというのに──時間対効果も最低というわけ。

 上位に入った種目はいずれも2人以上で行うもので、社会的な交流を伴う。研究者らは、仲間に「属している」という社会的幸福感や精神的な安定感が延命に寄与したのでは、と考察している。

 また、テニスやバドミントンは高強度のパフォーマンスと不完全休息を交互にとる“高強度インターバルトレーニング(HIT)”の要素がある。HITで最大酸素摂取量を上げ、全身の持久力を鍛えたことが健康長寿につながったのだろう。

 孤独と運動不足は明確な短命リスクだ。今から運動を始めるなら、一石二鳥でラケットゲームはどうですか? 何より楽しいです。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)