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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

上海で再現される日本風商店街
政治はごたついても高まる日本食への投資熱

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第104回】 2012年5月17日
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 日本のゴールデンウィークを利用して安徽省を回った私は、上海に戻って原稿を書いたりコーヒーを飲んだりして、静かに数日間休もうと密かに考えていた。しかし、スケジュールに空きがあることがばれて、長く日本に暮らしていたことのある2人の経営者に、有無を言わさず、上海の地下鉄7号線の嵐皋路駅のすぐ近くにある大型商業施設の見学に連れ出されてしまった。

友人に無理やり連れて行かれた先

 地下鉄駅近くの商業施設と言っても、別に珍しさを感じない。しかも、そのあたりは上海の下町で、昔、低所得者が多く住んでいた地域だった。再開発が行われたといっても、たいしたことはないだろうと想像がつく。

 移動する車の中で、どうして私がそこを見学しなければならないのか、と確かめたら、その2人はにやにやしながら、とにかく見たらすぐにわかると言うだけで、詳しく説明しようとはしなかった。ただ彼らの口からは時々「江戸町」とか「浅草」などの固有名詞が出ていた。車の後部座席に体を沈めて居眠りしながら、ぼんやりと聞き耳を立てていた私は、日本レストランのことを言っているんだ、となんとなく気づいた。

 実際、現場に着いてみると、まだ内装工事などが進んでいる半ば工事現場みたいな大型商業ビルだ。ビルの下にある地下駐車場が非常に広い。友人の話によれば、ビル全体が周辺から認知され、ある程度人気が出るまで、地下駐車場は無料で利用できる、という。

 実際、ビルの中に入ると、内装を終えた一部のテナントはオープンセレモニーを待たずに、性急にテスト営業に踏み切っている。友人たちに案内されて、上の階に足を踏み入れると、そこに異様な空気が漂っているのを感じた。浅草の裏路地に放り出されたような錯覚に陥った。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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