人的資産以外の資産がない国として、どう生きるか?

 巨額の国家債務の重みに耐えられない日本。人口が減少し、明らかに「ゼロ成長社会」に入った日本。技術革新が途絶え、大赤字を出し、絶滅に瀕しているエレクトロニクス産業。旧態依然とした寡占体制が担っている電力。政治を忘れ、政局が仕事と思っている政治家たち。これでは国がつぶれない方がおかしい。それでも「今日が回っているので、明日もきっと回るだろう」と大多数の日本国民は思っているのだろう。

 アメリカに生きていて、アメリカの中でも廃墟になった街の数々を目にする私が、故国の人に言えるのは、「そんなことはないですよ。デトロイトに行ってごらんなさい」ということだ。今の日本の状況は、破綻に瀕している欧州の国と比べても、決して良いとは言えないのである。今生まれ変わろうとしないなら、廃墟となったデトロイトのようになって行くことだろう。

 戦後の日本は起業家に溢れていた。何もかも失った戦後の焼け野原から、幾つもの新企業、産業が生まれた。商人は日本製品を世界中で売った。一人でも多くの顧客を得ようと必死だった。日本人よ、もう一度その起業家精神を取り戻して欲しい。そのためにはイスラエルの人々と一緒に働いてみることは、大いに役立つであろう。本書を読み、「人的資産以外の資産が無い『もう一つの国』」の生き方を学び、今自分たちが何をすることが大切なのかを、是非考えていただきたいと望むものである。

 


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