ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
美人のもと

痕跡

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第132回】 2012年5月21日
著者・コラム紹介バックナンバー

 誰でもモノを貸したり、借りたりすることがある。小さな助け合いはお互い気持ちのいいものである。借りた人は助かるし、貸したほうも気持ちがいい。

 美人にモノを貸すと気持ちのよさは大きくなる。

 感謝の表情がいいということもあるが、モノが良くなって返ってくる気がするからである。モノ自体が喜んでいるように見える。貸してよかったと思える。「使ってくれて、ありがとう」と言いたくなる。

 美人は痕跡を減らす意識を持っている。

 自分が使った痕跡をなるべく残さないような使い方をする。必要に応じてきれいにして戻す。

 それはモノだけの話ではなく、はっきり差が出るのは「場」である。自分がいた場所に痕跡をなるべく残さない。場をきれいにしてから去る。そういう行為が気持ちいいと言う。

 例えばホテルの退出時。部屋を散らかしたまま出ない。長距離線の飛行機。席を散らかしたまま降りる人が多い中、片付けてから降りている。公共施設。自分が帰るときはきれいにしていく。振り返って確認する。そこに人がいた気配を消すかのように。

 美人がさりげなく片付けている姿は美しい。それを気持ちいいと思っているからである。その時「美人のもと」が増えていくのだろう。

 借りていた場に対する感謝と場を貸してくれた人への感謝だ。「私、お金払ってるんだし」などといった態度は取らないのだ。

 痕跡を残してばかりいる人がいる。推理ドラマの犯人になれば、すぐに捕まってしまうだろう。片付けないことが日常化しているのだ。誰かが片付けるだろうと思っているのか。いや、そんなことも考えていない。見ていて、この人が使った後のトイレは汚いぞと思える。

 わかりやすい特徴は髪を撒き散らすことである。落ちた髪をそのままにする。さっきまで自分のものだった抜けた髪の存在など考えないのだ。あちこちで落とす。髪とともに「美人のもと」も落としているのだ。

 痕跡を考える。それはモノや場へ感謝の気持ちであり、それは自分を磨いてくれる。


この記事に関連した読者調査の投票結果を見る
(投票期間は終了しています。)

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

「美人のもと」

⇒バックナンバー一覧