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【埼玉県】 県民意識は薄く首都東京を隣で支える

都道府県データ:Vol.20

岩中祥史 [出版プロデューサー]
【第20回】 2009年12月21日
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 「埼玉都民」という、言い得て妙な言葉がある。実際の話、埼玉県内に住んで就職・就学している391万人のうち28.8%、約3分の1は県外(ほとんどは東京)に通っているのだ(平成17年国勢調査)。そして、この事実が埼玉「県民」という自覚を薄めてしまっていることは誰にも否定できない。

 それだけならまだしも、出ている先が首都(東京)であるために、東京とのさまざまな格差を日々実感させられるうち、深いコンプレックスを抱くようになる。東京一極集中の傾向は年ごとに強まりつつあるから、埼玉県民のそうした思いも深まる一方だろう。

 だが、埼玉には豊かな自然がまだふんだんにあるのもまた事実だ。秩父多摩甲斐国立公園をはじめ、県内には大規模な自然公園がほかに10ヵ所もある。そうしたところにやってきてリフレッシュしているのは東京都民のはずだ。また、県の北部はほとんど農業地帯で、首都圏に最も多くの農産物を供給している。

気質は保守的でおとなしい

 昨今テレビでは、47都道府県それぞれの、知られざる生活習慣をおもしろおかしく取り上げたバラエティー番組がはやっている。だが、そうしたなかに埼玉が登場する際は相変わらず、「ダサイたま」という、埼玉県民にとって不愉快きわまりない言葉がセットになっている。しかし、先に触れたような事実を踏まえれば、そんなふうに揶揄されるいわれはないわけで、もっと大々的に反論してもよさそうな気がする。

 ただ、かつてはほとんど全域が農地で、大半が農作業に従事していたことから、気質は保守的でおとなしい。江戸時代、社会的な地位の高い武士の生活を支えていたのは実質的には農民だった(だから、「農」の地位は「士」の次とされていた)が、その暮らし向きはけっして恵まれていなかった。それと似たような構図が、埼玉─東京の間にあるような気がしてならない。

 そんな埼玉県民が、「埼玉がなければ、東京などひと晩で吹っ飛んじゃいますよね」という言葉を聞けば溜飲が下がるだろうし、疲れも吹き飛び仕事への活力もわいてくるのは間違いなさそうである。


◆埼玉県データ◆県庁所在地:さいたま市/県知事:上田清司/人口:705万3689人(H17年)/面積:3797平方キロメートル/農業産出額:1945億円(H19年)/県の木:ケヤキ/県の花:サクラソウ/県の鳥:シラコバト

データはすべて、記事発表当時のものです

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岩中祥史 [出版プロデューサー]

1950年、愛知県生まれ。東京大学文学部卒。出版社に勤務後、独立して編集企画会社エディットハウスを設立し、現在、代表。著書に、最新刊『日本を変える「名古屋脳」』(三五館)、『アナログ主義の情報術』(梧桐書院)、『出身県でわかる人の性格』『札幌学』、『博多学』、『名古屋学』(新潮文庫)などがある。各県の気質を調査した、現代県民性評論の第一人者。

 


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