5月22日午前、民主党の輿石東幹事長は、野田佳彦首相の指示により小沢一郎元代表と会談。その結果、来週にも野田・小沢会談が実現することになった。この会談には輿石幹事長も加わるという。

 要点は、(1)「来週にも」と、輿石氏を含めた(2)3者会談だというところにある。

輿石氏の会談参加で
袋小路に入った「小沢切り」の道

 会談を要請した野田首相が日時を指示するわけにはいかない。「来週にも」とは来週以降であり、来週中ということでもない。

 ただ、はっきりしていることは、会談が早くても1週間後ということ。いずれにしろ、会談日程は小沢氏の都合が優先される。それに会談の先送りも首相に反対できなくなった。

 また、会談が3者会談となった政治的意味は実に大きい。

 これによって、「幹事長一任」という決着や「再会談」や「再々会談」の可能性が出てきた。

 2人だけの会談なら、現状では両者に妥協の余地がなく、決裂必至の見通しだが、中に入った輿石氏が、「私に任せてくれないか」、あるいは「もう一度会って私の提案を議論してくれないか」と言えば、2人はそれを断ることができないだろう。特に小沢氏が直ちに同調すれば首相も従わざるを得ない。

 両者と等距離に立ち、政局の鍵を握っている輿石氏の提案にどちらか一方が背を向けると、バランスが一瞬にして崩れてしまい、輿石氏は同調者と一体となる。

 会談が3者会談となって、野田首相の目論見は大きくはずれたのではないか。2人だけであって「消費税増税に賛成して下さい」と首相がお願いし、「それはできない」と小沢氏が答えれば、「小沢切り」の儀式は成立し、自民党への協力要請を公然と始めることが可能になる。

 しかし、輿石氏の参加でそれがすこぶる困難になってしまった。