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China Report 中国は今

一触即発のアジア領海問題
引き金を引くのはウロチョロする中国漁民

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第100回】 2012年6月1日
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 このところ、中国の近海が騒がしい。東京都が尖閣諸島の購入を打ち出したこと、フィリピンと揉める黄岩島(スカボロ-礁)事件、それに続いて中国漁船の北朝鮮軍による拿捕――。こうした国際問題に頻繁に顔を出すのが、領海侵犯を恐れない向こう見ずな中国漁民たちだ。彼らの本音はどこにあるのだろうか。

 北朝鮮に拿捕された漁民が大連に戻ってきた。5月22日付けの上海紙には、放心したような顔つきの漁民の写真が掲載された。着の身着のまま、ほうほうのていで帰還した様子からは、拘束期間の苦労もにじみ出る。

 船長の韓強は、待機した中国の地元マスコミの取材にこう打ち明けている。

 「船底に28人が押し込められた。平らでないから寝るにも容易でない。食べ物はイモしか与えられないが、食べては吐くの繰り返し。小便はペットボトルにさせられた。求められた書類への署名を拒絶すると棍棒で殴られた」――。

 北朝鮮の領海に侵入した、純朴そうな中国漁民の告白である。

 しかし、見かけの朴訥さとは裏腹に、彼ら中国漁民は大胆でしたたかだ。領海を越えてウロチョロするこの向こう見ずな中国漁民こそが、問題の元凶とも言えるのだ。

危険を冒してまで漁をする
彼らの真の動機はどこに

 2010年9月の尖閣諸島における、あの衝突事故以来、中国のメディアはこの「漁民」を注視するようになった。彼らの生活は、価値観は、そして真の目的はどこにあるのだろうか。

 4月以降、緊張を増す中国とフィリピンの外交関係だが、そもそも火種を蒔いたのは陳則波と名乗るひとりの漁民だ。

 彼はフィリピン海軍に捕まった後、5月2日に彼を含む22人の船員とともに、中国の故郷に戻ってきた。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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