ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
インキュベーションの虚と実

しっかりしろ起業家たちよ
日本の間違いだらけスタートアップ・ファイナンス

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第4回】 2012年6月4日
1
nextpage

少々乱暴な言い方ですが
アホなファイナンスを放っておけない

 このところ日本のスタートアップがNHKやAERA、日経ビジネスほかマスコミに取り上げられている。日本でもインキュベーターやスーパーエンジェルが毎週のように生まれ、スタートアップ・コンテストは花盛り。学生を含む若い世代にも注目され、アクセラレーター・プログラムでもその存在は目立っている。

 しかし、世の中そんなに甘いものではなく、簡単にうまくいくわけではない。

 ただし、起業熱が高まっているのは、経済全体にとっては良いことであり、応援されるべき現象だ。起業家たちは、応援され、注目されるばかりでなく、自らのビジネスにあるさまざまな課題を認識し、改善して進歩させなければ、事業内容は充実していかないことは言うまでもない。

 今回はスタートアップの資金調達について考えてみたい。最近の傾向として、小額な資金のみで贅肉のないスリムな財布でスタートする「リーン・モデル」が主流となっている。とはいえ、事業を始めるには、いくばくかの資金がなければならないし、成長のためにも資金調達は不可欠だ。

 日本の実情をみると、少々乱暴な言い方で申し訳ないのだが、「こいつらアホか(以後KAと記す)」と言いたくなるような資金調達例が少なくない。すでにベンチャー・ファイナンスを習得した方にはまどろっこしい話が多くなるが、今回はスタートアップ・ファイナンスの超基礎編ということで、事例とともに整理したい。

間違いだらけの
スタートアップ・ファイナンス

 「投資家は僕らの夢にお金を出してくれるカッコイイ人」

 こんな呑気なことを言う起業家もいる。しかし、お金のこととなると特に、周りは起業家たちに常に都合よく接してくれるわけではない。結局は投資家との関係性も自分次第であり、うまく付き合っていかねばならない。

 スタートアップ先進国の米国でも、間違ったスタートアップ・ファイナンスはある。しかし、日本のそれは特に問題だ。

 「新規の投資家として増資を引き受けて欲しいとあるスタートアップ企業に言われたので、その企業の話を聞くと、シード段階で30~40%も他の投資家に株を持たれていた。そんな状況では、もはや資本政策の組みようがないから、我々にとっては増資を引き受けるかの検討にすらのぼらない」

 日本のスタートアップの資本政策の“マズさ”を指して複数のベンチャー・キャピタリストはため息をついている。実際に、日本のスタートアップが、初期段階での資本政策の過ちで、次の資金調達がおぼつかなくなったり、経営陣が会社のコントロールを失ったりする例が、あちこちで見られる。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ビジネスプロフェッショナルの方必見!年収2,000万円以上の求人特集
ビジネスプロフェッショナルの方必見!
年収2,000万円以上の求人特集

管理職、経営、スペシャリストなどのキーポジションを国内外の優良・成長企業が求めています。まずはあなたの業界の求人を覗いてみませんか?[PR]

IT&ビジネス
関連記事
クチコミ・コメント
facebookもチェック

本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

⇒バックナンバー一覧