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山崎元のマネー経済の歩き方

バブルは何が原因か?

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第229回】 2012年6月4日
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 会合でお目にかかった法律の専門家に「ファンドマネジャーのベンチマーク対比と横並び意識がバブルの原因だとの説があるが、どう思いますか」と質問された。

 この説の背景を推測すると、まず、プロの運用者がベンチマーク対比の評価によって株価の絶対水準の適切性を気にしなくなるということだろう。加えて、ライバルとの運用成績競争を意識し、ライバルと同じ程度のリスクを取り続けようとする行動が株価の上昇に拍車をかけることが問題か。

 二つの理由は、筆者も実感としてわかるし、これらが株価の上昇と併存することがあろうとは思うが、正直なところ、筆者は、バブルの大きな原因だとは思わない。

 そもそも、ファンドマネジャーも含めて、市場参加者の適正株価に対する判断力はそれほど強力なものではない。また、適正株価自体が、将来の利益成長率や投資家が要求するリスクプレミアムをほんの少し変えるだけで大きく変化する、判断の難しい対象だ。

 プロのファンドマネジャーが、絶対水準を意識して投資したところで、適正株価がよくわかるようになって、バブルに歯止めがかかるとは思えない。彼らに有効な判断力があるのなら、例えば株式への投資比率を変化させる戦略(この戦略の持ち主を「マーケットタイマー」と呼ぶ)がもう少しうまくいってもいい。マーケットタイマーは成功しにくいというのは運用業界の定説だ。

 先の質問に対して、筆者は、「バブルの原因は、人間の欲望と金融マンのボーナスです」と答えた。

 まず、他人の儲けがうらやましくて、自分も儲けようと追随したくなる心理が経済主体全般に存在することは、かつてのオランダのチューリップ球根のバブルやフロリダの土地バブルのころから変わらない「バブルの基礎」だろう。

 加えて、金融業の果たす役割が大きいと筆者は思う。株価や不動産価格が上昇すると、金融機関が保有する資産の価値が上昇するのとともに、ローンの担保価値が向上する。これらは、金融機関のバランスシートの余裕と、貸し出し余力の拡大をもたらす。この状況で、個々の金融マンは、貸し出しやリスクを目いっぱい拡大したいインセンティブ(誘因)を持つ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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