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廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

必要なのは、「モノづくり」ではなく「ストーリーづくり」
――ソウル市の交通変革に真価を見せた情報化の威力

廉 宗淳 [イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]
【第2回】 2012年6月12日
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IT化すればすべて解決するわけではない

 韓国スマートカードはこのシステム全体を、海外にも輸出しています。単なる机上の空論ではなく、ソウル市という実例、実績を伴ったシステムなので、説得力が違います。そうなると、価格競争に陥る可能性が少なくなります。既にニュージーランドのウェリントンでも導入されているほか、マカオやマレーシア、ロシア、メキシコなどでも導入の検討が進んでいるそうです。

 この事例で言いたいのは、ただITを導入すればよいわけではないということです。システムの設計ができても、LG CNS社のように、バスの路線図や都市計画まで描くことができる企業がどれだけあるでしょうか。

 このプロジェクトの本質は、テクノロジーだけではなく、政策や都市計画にあるのです。市民、自治体、バス会社、システム運営者の、全員が便利になり幸せになれるストーリー(物語)を描くことがカギです。

 システムやスマートカードなどの「モノ」の価格は技術革新や競争によってどんどん下がります。今必要なのは、モノ作りの力ではありません。ストーリーを描く力なのです。

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廉 宗淳
[イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]

1962年生まれ。大韓民国空軍除隊後、国立警察病院、ソウル市役所に 勤務。日本でのプログラマー経験を経て、韓国で株式会社ノーエル情報テック設立。2000年、日本でイーコーポレーションドットジェーピー設立。青森市の 情報政策調整監、佐賀県情報企画監、総務省の電子政府推進委員や政府情報システム改革検討会構成員を務めている。

廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

お隣の韓国は、国連の電子政府ランキングでここ数年、1位が指定席。かたや、日本は順位を下げ続け2012年は18位。韓国の電子政府は何がすごいのか、日本が学ぶべきポイントはどこか。90年代前半に日本でITを学び、現在は、行政、医療、教育などの分野でITコンサルティング事業を展開する廉宗淳氏が、日本の公共サービス情報化の課題を指摘する。

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