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世界を巻き込む途上国ビジネス

NPOは、民間企業以上にガバナンスを重視せよ。
非営利団体が「ビジネスの視点」を持つ意味

中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]
【第6回】 2012年6月26日
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 前回は、ハイブリッド・バリューチェーンのような、途上国におけるNPOと企業のコラボレーションや、大学、NPO、政府を絡めた様々な形での連携が、途上国の問題解決にイノベーションをもたらしていることについて書いた。

 今回は、NPOがこのような様々な立場の人たちとの連携を可能にするためには、多様なセクターに対応でき、バランスの良いグローバルなガバナンス体制を築いていくことが大事だということについて書いてみたい。

NPO経営陣は、
ビジネスの共通言語で語れるか?

 NPOが企業と連携をする場合、当然のことながら、パートナー企業のスタッフと話を進めながら具体的な連携のモデルを模索していくが、その過程で、財務状況を含めたNPOの経営状態や、理事会、経営陣の構成など、マネジメントに関する質問がよく出てくる。

 また、世の中にソーシャル・ビジネスのコンセプトが浸透していくなかで、長い間非営利の活動を支えてきた財団からも、ビジネスモデルについてのデータの提出を求めてくることが多くなっている。どこから収入を得て、どこにお金を使い、どういう効果を狙っているのかという、ビジネスでは基本的なポイントが非営利の団体にも求められるようになっているのだ。

 その結果、NPOの経営陣も“ビジネスの共通言語”で会話できることが必要になってくる。

日本においても、コペルニクは企業を対象に年に数回セミナーを実施。 企業とのコラボレーションを常に模索している。
Photo:©Kopernik

 また、NPOの最も重要なミッションである社会的問題の解決についても、定量的に計測し、その効果を伝えていくことがますます大切になっている。これまでは定性的な説明だけでよかったのが、いまでは数字で変化を表す必要が高くなっている。つまり、この資金を使うことでどのような社会変化が起こるのかを、現場の活動ストーリーだけでなく、プロジェクト全体から見てどうなのか、そして、費用対効果は高いのかをきちんと示さなければならない。

 さらには、何が他の団体と違うのかといった比較優位の観点も必要になっている。特に欧米の財団と話す時には、このような戦略的思考が非常に重要となる。

 一方で、途上国の問題を解決するには、様々な立場の人たちを巻き込んでいく必要があり、これを一国だけに限ることは意味がない。日本だけではなく、欧米、アジア、アフリカ、中南米といったグローバルな視点から、人材、資金、技術といった様々なリソースを有効活用できるかが問われている。

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中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

京都大学法学部卒業。英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。国連研究機関、マッキンゼー東京支社のマネジメントコンサルタントを経て、国連開発計画(UNDP)で、東ティモールやシエラレオネなどで途上国の開発支援業務に従事。アメリカ、スイスでの国連本部業務も経験し、ソマリア、ネパール、スリランカなど紛争国を主にカバーしていた。
2009年、国連在職中に米国でNPO法人コペルニクを設立。アジアやアフリカをはじめとする途上国の、援助の手すら届きにくい最貧層が暮らす地域(ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを使った製品・サービスを提供する活動を行い、貧困層の経済的自立を支援している。
2010年、2011年には、クリントン元米大統領が主催するクリントン・グローバル・イニシアティブで登壇。2011年にはテック・クランチが主催する「クランチーズ」で表彰。2012年、世界経済会議(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。また、テレビ東京系の「ガイアの夜明け」やNHKなどメディアへの露出も増加している。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘准教授も務め、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学、シンガポール大学、オックスフォード大学、東大、京大など世界の大学で講演も行っている。2012年、ダイヤモンド・オンラインに連載「世界を巻き込む途上国ビジネス」を寄稿。著書に、『世界を巻き込む。』がある。
☆中村氏twitterアカウント: toshikopernik
☆コペルニク・ジャパンfacebookページ: http://www.facebook.com/kopernikjapan


世界を巻き込む途上国ビジネス

BOPビジネスという言葉も登場し、途上国に新たなマーケットを求めて進出する企業が増えている。しかしその多くは、現地のニーズをきちんと捉えたビジネスモデルになっていないことが多い。長年、国連で途上国の開発事業に携わり、現在は自身が立ち上げたNPOコペルニクにて、シンプルなテクノロジーを途上国に届ける活動を行っている中村氏が、現地ニーズに即した途上国ビジネスについて考える。

「世界を巻き込む途上国ビジネス」

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