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野口悠紀雄の「経済大転換論」

日銀は貨幣供給量を動かせない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第24回】 2012年6月28日
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 金融政策を論じる際に参照する指標には、いくつかのものがある。それらは、量的な指標と、価格に分けられる。量的な指標の基本は、マネタリーベースとマネーストックだ。これらについて説明しよう。

マネタリーベース、マネーストックとは

 日本銀行のホームページにある解説で、マネタリーベース、マネーストックは、つぎのように説明されている。

 「マネタリーベース」とは、「日本銀行が供給する通貨」のことである。具体的には、市中に出回っている流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀当座預金」の合計値である。すなわち、

 マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」

 これは、中央銀行と政府が経済のそれ以外の部門に対して持つ負債だ。

 「マネーストック」とは、通貨保有主体が保有する通貨量の残高(金融機関や中央政府が保有する預金などを除く)である。通貨保有主体には、居住者のうち、一般法人、個人、地方公共団体・地方公営企業が含まれる。「一般法人」とは、預金取扱機関、保険会社、政府関係金融機関、証券会社、短資等を除く法人だ。

 これは、金融機関が経済のそれ以外の部門に対して持つ負債だ。

 マネーストック統計では、「金融機関」の範囲の差と、預金の種類の差によって、M1、M2、M3、広義流動性といういくつかの指標が定義されている。M1とM3では、対象金融機関は、ゆうちょ銀行を含む広義の預金取り扱い機関とされている。また、M3では、定期預金も含まれている。

 詳しい説明は、日銀ホームページにある「マネーストックの解説」を参照。

 以上の定義は、時代によって変化する。「クレジットカードやトラベラーズチェックはマネーストックに含まれるか?」という問題は古くから議論されてきた。現代では、電子マネーの取り扱いが問題となる。

 なお、マネタリーベースは、かつて「ハイパワードマネー」と呼ばれていた。「強制通用力を持つ貨幣」という意味だ。そして、「マネーストック」は、「マネーサプライ」と呼ばれていた。古い教科書などには、この名称が用いられている。現在の名称は、2008年6月以降のものだ。「貨幣供給量」というのは、マネーサプライの訳語だ。この言葉もしばしば用いられる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

「野口悠紀雄の「経済大転換論」」

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