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「もう一度日本を技術立国にする」――未踏の領域、ネットワークのクラウド化へひた走るベンチャー企業、ミドクラの加藤隆哉氏に聞く

【第13回】 2012年7月2日
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 なぜボトルネックになっているかというと、ネットワークの機能が特定の専用機器に割り当てられていて、その管理に人手がかかってしまうからです。それぞれの機器に対応した操作資格を持った人間だけが、設定・変更等ができ、別の機器は別の資格を持っている人間がやらなければなりません。こうした専門性の裏には当然ネットワーク機器メーカーのビジネス原理が働いています。

 ネットワーク仮想化技術は、ネットワークの構成をソフトウェアで定義することで、より柔軟性、拡張性を実現し、同時に初期投資と運用コスト両方に寄与することを目指しています。

Windowsがメインフレームにとってかわったように
ネットワーク専用機をソフトで代用

 ちょうど、マイクロソフトがWindowsによって世界中の人がPCを使えるようにしたことで、ハードとソフトが一体で提供されたメインフレームコンピュータが、Windowsを載せたさまざまなメーカーが作る安価なPCに置き換わったように。それと同じように、ある種のOSのようなものを開発するわけで、エンドユーザーからみれば、裏でそのようなことが行われていると意識しないで、すごく使いやすいクラウド・コンピューティングのインフラになります。

 MidoNetは、その分散アーキテクチャという特長を活かし、より耐障害性の高い、信頼性の高いシステムを構築できるようにすると共に、現状ハードウェアで構成しているネットワーク機能をソフトで実現します。ユーザーは、基本的には安価な汎用サーバーをずらっと並べて、それをL2 (もしくはL3)で接続した非常に単純でフラットなシステム構成の上に、自由にソフトウェアで論理的なネットワークを構成することができます。
※OSI参照モデルにおけるレイヤー2(データリンク層)、レイヤー3(ネットワーク層)のこと

 MidoNetでは、全体を見渡せる人間がすべての構成を遠隔で自由に設定することが可能になり、運用が単純化すると共に、併せて運用コストが格段に下がることが予想されます。また、コモディティ機器になっている汎用サーバーを使うので、初期投資コストを大幅に下げることも可能になります。

 また、セキュリティの向上にもつながります。現状クラウドの世界では、仮想LAN等を利用して各テナント(ユーザーのデータ)を分離しておりますが、これがとてもやっかいな代物で、設定やメンテ、マネジメントが非常に煩雑で、多くのクラウドユーザーが異口同音になんとかしたいと言っています。仕様的に4096個までという制約も問題になっています。この煩雑な設定を間違えると、通信が混信してしまい、セキュリティが守れない事態も起こります。MidoNetでは、仮想LAN等の煩雑な設定は一切なく論理的にテナントを分離しそれぞれのセキュリティ・ドメインを構成します。

――ネットワークのクラウド化に目をつけたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

 それは自分のバックグラウンドに関係します。私の経歴をご覧になればわかりますが、ずっと情報通信分野に関わって、チップの性能の進化や、ソフトウェアの面でも何が問題で変化してきたかをみてきました。トレンドをみていると、何が問題なのかがわかります。

 90年代にAI(人工知能)が流行りました。実は今それが姿を変えているだけです。歴史をおさえている人からすると、これはあのときの技術であると分かります。いきなり出てきた技術ではありません。まだパソコンがない昔、複数のユーザーがメインフレームを共同で利用していましたが、その当時から仮想化はありました。コンピュータのベースからみているとわかりますし、俯瞰的なものの見方が出来る人なら、分かるはずです。

 私自身は、技術者になるのは諦めたが、もう一度日本を技術立国にするというテーマは決めていました。その際、クラウドは革命的な技術であると認識していました。

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