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なぜ吉野家はアルバイト出身者を社長に選んだか?
激変ビジネスの勝者を読み解く「立身出世」の新法則

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第234回】 2012年7月17日
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新社長は高卒でアルバイト出身?
吉野家HD、20年ぶりのバトンタッチ

 6月下旬、牛丼で知られる吉野家ホールディング(HD)の新社長に、傘下のうどんチェーン「はなまる」の社長だった河村泰貴氏が就任することが発表された。9月1日付けの人事で、現社長の安部修仁氏は代表取締役会長になる。

 今回の人事に関して最も興味深いのは、安部氏と河村氏がいずれもアルバイトとして吉野家の店舗で働いた経験を持ち、その後、40代前半という若さで企業経営のトップの地位に就いたことだ。

 しかも、河村氏は吉野屋HD傘下のうどんチェーンの経営者だった。子会社から本社のトップに抜擢されたのである。

 同氏は、高校卒業後の5年間、吉野家の牛丼チェーンでアルバイトとして実際の接客業務を体験し、1993年に吉野家に入社した、いわゆる“たたき上げ”の人材だ。2004年からは、赤字が続いていた「はなまる」の取締役に就き、同社の経営建て直しに力量を発揮した。

 現在、「松屋」「すき屋」などのライバルと熾烈な競争を展開している吉野家にとって、現場の感覚を十分に持った、実行力がある若い経営者が必要になったのだろう。同氏は、吉田卓郎や奥田民生が卒業した広島県の皆実高校出身というのも、何か型破りなバックグラウンドをイメージさせる。

 一方、同氏に対する評価の中には、“辣腕のコストカッター”との見方があることも事実のようだ。わが国社会全体の低迷が続く中、経営者の力量が直接業績に繋がり易くなっている。

 それに加えて、ますます厳しさを増す“牛丼戦争”の中で、同氏のような“型破り”なトップが、どのような企業経営を実践するのか、楽しみである。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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