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山崎元のマネー経済の歩き方

低金利下の我慢比べを競う債券運用

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第235回】 2012年7月18日
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 ある企業年金の運用担当者とお話しする機会があった。彼は、「国債利回りの上昇リスク」について大いに心配していた。利回りが1%上昇すると、現在の年金基金の債券運用ポートフォリオでは、おおむね5%以上値下がりする。国内債に4割以上投資する彼の基金でこうなると「痛い」と言う。

 ある信託銀行が提案した運用商品のパンフレットを見せてもらった。国内債での通常の運用と、外国債券に投資しつつ為替リスクはほぼすべてヘッジする「ヘッジ付き外債」での運用とを、局面によって入れ替える商品だった。

 筆者も、信託銀行員時代にわかりにくい資料を作ったかもしれないので、批判できた義理ではないのだが、この商品もパンフレットもわかりにくい。年金基金の窓口になっている担当者が説明した場合、説明を受ける側がわからないことはもちろん、説明する側も質問にすべて答える自信はあるまい。

 ヘッジ付き外債は、確かに一つのアイデアだ。日本の金利が短期で0.1%、長期で0.8%、外国の金利が短期で0.2%、長期で2.0%だったとしよう。この外国債券を買って、短期の為替予約で全額ヘッジするとすべての金利が不変なら、為替リスクはほぼゼロで、1.9%の利回りが期待できるポジションが取れる。この利回りは魅力的だ。

 だが、このポジションは、円預金を持ち、外貨を短期のロールオーバーで借り、外国の長期債に投資するのと同じだ。外国の長期金利が上昇した場合、債券が値下がりして損失が発生する。外国の長期金利が、低下するか少なくとも上昇しないという強い予想がなければ、賭けられない戦略だ。

 米国やドイツの10年国債利回りは共に2%を切っていて、既に歴史的に低い。利回りがさらに低下すると賭ける度胸はあるのか。イタリアやスペインのような国の国債の利回り低下に賭けるのは、投機としては面白いが、年金の資金でこれをやるのは怖かろう。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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