人と違うことをやる。リスクを取ってでも新しい道を行く──。イノベーターとして活躍する若きリーダーたちは、どう育ってきたのか。今回は、AI(人工知能)を使った自動会話プログラムであるチャットボットを、商品購入など高度なコミュニケーションに活用し、新たな産業革命に取り組むジールスの清水正大さんです。(聞き手/ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)

東日本大震災が転機
ワシ、大学に行く!

イノベーターの育ち方・ジールス代表取締役CEO・清水正大氏Photo by Masato Kato  拡大画像表示

──岡山の倉敷市出身ですね。どんな子供時代でしたか。

 当時住んでいたマンションの1階が立ち読みし放題の本屋だったので、漫画をとにかく読んでいました。特にヒーロー物が大好きで憧れていました。映画も「アルマゲドン」や「ミッション:インポッシブル」とか、特別な任務に就いたヒーローが地球を救うような話が好きでしたね。

 遊びも冒険みたいなものばっかりで、近くの山に本格的な秘密基地を作ったりしていました。

──家庭の教育方針は?

 一言でいえば自由。おとんは飲み屋を何軒も持っていて、僕が学校から帰っても夕方以降は家にいませんでした。おかんは看護師です。門限とかはなかったし、友達が泊まりに来るのも、泊まりに行くのも何も言われませんでした。

 だけど、中学1年生のときにおとんの会社が倒産して、急に貧乏になりました。家も、倉敷市内ですが別の土地に引っ越しました。

 小学4年生くらいから始めたサッカーでは、割と強いチームで早めにレギュラーにもなれて、楽しくやっていたのですが、引っ越しで初心者みたいなやつばかりのチームに移って、スパイクもなかなか新しいのを買ってもらえなくなるし、学校では「夜逃げしてきたやつがいる」みたいな話になって、いじめにも遭いました。