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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

鬼の旧日本軍にもあった“ほめて育てる”極意
「新型うつ」にさせないアメとムチの使い方(下)

――処方箋④「伸びしろ」をほめないと部下は育たず

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第4回】 2012年7月25日
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人を「動かす」から「育てる」へ
山本五十六流“アメ”の論理

 前回述べた「ムチ」の使い方に対し、今回は「アメ」の使い方について考えてみたい。

 山本五十六の「やってみせ、言ってきかせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず」は、コーチングやリーダーシップの本に多く引用されている有名な言葉だ。アメの使い方の極意がシンプルに描かれているからだろう。

 この言葉には、実は続きがある。

 「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

 前言は「人を動かす」ための極意であった。それに対し、この言葉は人を育て、さらには実らせるための極意を示している。

 注目すべきは、第二次世界大戦直前の緊迫した空気の中、軍部という最も「ムチ」が振るわれやすい環境においても、山本は「アメ」の重要性を示していることだ。

 ここでの「アメ」は、金銭的なインセンティブや組織での地位などではない。「感謝と認知」である。海軍の新米士官の斉藤一好が少尉に抜擢されたとき、それまで言葉など交わしたことのなかった山本から突然、「任官おめでとう」と声をかけられたという。

 山本がいかに細かく部下を見ていたかがわかるエピソードである。そして、その部下を「きちんと認知している」ことを伝え、モティベーションを向上させている。

 「感謝と認知」といったアメの効力は、時として金銭的なインセンティブ以上の効果を持つことを、実験経済学者のジェームズ・ヘイマンとダン・アリーリーが示している。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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