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アマデウスたち

服部有吉
芸術にも差別はいらない

週刊ダイヤモンド編集部
【第13回】 2008年1月25日
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服部有吉
写真 加藤昌人

 祖父に作曲家、両親に俳優を持つ、服部一族のサラブレッドは、13歳でバレエダンサーとして生きることを選んだ。それまで肌で触れてきた音楽や芝居より、「未知との遭遇」に心が躍った。

 単身ドイツに渡り、バレエスクールを卒業するが、身長162センチメートルの東洋人を受け入れるプロのバレエ団は現れなかった。だが、世界有数の振付師、ジョン・ノイマイヤーが比類なき才能を見出し、自ら率いるハンブルクバレエ団に迎えた。「その他大勢であっても、主役の気迫で動いた。調和より主張を認めてくれた」。そして、東洋人初のソリストが誕生した。

 舞台の上では、誰よりも大きく映る。指先からつま先まで、全身が針金のように張り切った次の瞬間、解けたロープのようにすべての関節が緩む。精緻にコントロールされた肉体の美。「どう見えているかより、どれだけオーガニックであるか」を、突き詰める。

 振付師、演出家としても偉才ぶりをいかんなく発揮している。追求するのは「融合」だ。「芸術は社会の鏡。人種や宗教と同じように、ジャンルという、差別や区別はいらない」。今年6月には日本で、バレエにストリートとパントマイムを、クラシックにジャズを加えた斬新な作品を披露した。「壮大な命題に向かう初めの一歩かもしれないが、過程を観客に見届けてもらいたい」。革命的な芸術家を、観客はスタンディングオベーションで迎えた。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

服部有吉(Yukichi Hattori)●ダンサー・振付師 1980年生まれ。6歳でクラシックバレエを始める。2003年ハンブルクバレエ団の初の東洋人ソリストに。2006年シーズンプログラムにおいて、振付師としてデビュー。同年、カナダのアルバータバレエ団に移籍。2007年舞踊批評家協会新人賞受賞。祖父は国民栄誉賞を受賞した作曲家の服部良一。

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