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森信茂樹の目覚めよ!納税者

維新の会の改訂版「船中八策」で掲げた
「地方交付税の廃止」実現への道はこれだ

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第32回】 2012年7月27日
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 これまで、大阪維新の会の「船中八策」について、フラット・タックスの問題(第25回) 、消費税を地方税にすることの問題(第26回)と、2回にわたって中身を検証してきた。今回は、「地方交付税の廃止」という船中八策の政策について、考えてみたい。

「地方交付税制度の廃止」と
「地方間財政調整制度の導入」

 7月6日に公表された船中八策(改定案)を見ると、「地方財政計画制度・地方交付税制度の廃止」と「消費税の地方税化と地方間財政調整制度」をうたっている。

 いずれも、国からの財政的独立を果たして、地方分権にふさわしい政治体制を構築するという考え方に基づくものであろう。わが国の複雑な経済社会に、きめ細かい公共サービスを効率的で効果的に提供するためには、地方にカネとヒトと権限を委譲していくほかない、という考え方には大いに同意したい。

 一方で懸念もある。

 1番目は、わが国は、ドイツや米国のような連邦国家ではないので、自ずからさまざまな憲法上の制約がある、ということである。これが、後述する、地方公共団体間での財源調整メカニズム(水平的調整)の導入の是非である。

 次に、国からの補助金や交付税措置に慣れきっている現在の地方の首長さんの大部分に、「みずから努力しろ、今日から競争だ」といって、意識が変わるだろうかということだ。分権は、美しい響きを持っているが、橋下市長のような強力なリーダーシップとビジョンを持つ自治体はやっていけるのかもしれない。しかし、そうでない大部分の首長に、国家からの自立といっても、果たして行政サービスは本当に向上するのか、かえって非効率で無駄なことにならないか、という懸念である。

 後者は、基本的には首長の資質の問題なので、ここでは取り上げない。ここでは、前者の問題、つまり、「交付税を廃止し地方間で財政調整する」ことの課題を考えてみたい。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

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