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金融市場異論百出

選挙前の日米に見る
危うい国庫の資金繰り

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年8月8日
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 米国では昨夏に与野党の対立で政府の債務上限引き上げが難航、歳入不足による政府機関閉鎖の恐れが一時高まり、金融市場は動揺した。今年の秋もそのリスクは存在したが、7月31日に、議会の共和党、民主党幹部が来年3月まで政府支出を継続することで合意した。政府機関の閉鎖はひとまず回避される見通しだ。

 11月の大統領選挙前に去年のような混乱は避けなければならないという判断が米議会に働いた。世論調査を見ると、米国民の議会に対する評価は非常に厳しい。ギャラップ調査では、議会の仕事を評価する人は、1974~2004年の平均は40%超だったが、今年7月はわずか16%である。

 与野党の対立で政府支出に支障が出るリスクは日本にも存在している。赤字国債を今年度発行するために必要な特例公債法案がまだ成立していないからである。

 今年度の一般会計の歳入は90.3兆円だが、租税・印紙税収入見込みは42.3兆円しかない。約41兆円が赤字国債発行による歳入となる。それが発行できない状態が続くと、10月中に政府の手元資金は底を突き、11月以降は予算執行に問題が出る模様である。

 短期的なつなぎとして財務省証券(国庫短期証券の一種類)を発行して資金調達すれば、国庫からの支払いは11月以降も継続できるはず、という見方が金融市場ではよく聞かれる。しかし、政府は、そのための財務省証券の発行は行わないつもりのようだ。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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