ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄の「経済大転換論」

世界金融市場の「リスクオフ」はいつまで続くのか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第30回】 2012年8月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 前回、短期証券投資の形で、イギリスから日本へ巨額の資金流入が2011年にあったことを述べた。

 これは、世界的な資金の流れが「リスクオフ」の方向を向いていることの反映である。「安全」と考えられている投資対象としては、日本国債の他にアメリカ国債がある。

 以下においては、アメリカへの資金流入、ヨーロッパからの資金流出の状況を見た後、「リスクオフ」の流れがいつまで(あるいはいかなる条件変化があるまで)続くのかを考えることとしよう。

2011年に増加した
アメリカ対外純負債

 アメリカは1986年以降、対外負債(外国人がアメリカに保有する資産)が対外資産(アメリカ人が外国に保有する資産)を超え、純債務国になっている。

 2008年には、純資産額は、マイナス3.2兆ドルであった。09年、10年にはこれがマイナス2兆ドル台になったが、11年にマイナス4兆ドルになった。

 リーマンショックまでの時点では、経常収支赤字をファイナンスするために巨額の資本流入があった。08年と09年は、QE1、QE2の影響でアメリカから資本が流出したのだろう。10年頃からは、ヨーロッパ金融危機の影響で資金がヨーロッパから逃避し、アメリカに流入しているのだと考えられる。

 ところで、対外資産・負債の変化は、資金流出入に起因するものと、評価変化に起因するものとがある。したがって、資金流出入を見るには、対外純資産の変化をこれら2つの要因に分解する必要がある。11年についてこれを行なったのが、[図表1]だ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄の「経済大転換論」

日本経済は今、戦後もっとも大きな転換期にさしかかっている。日本の成長を支えてきた自動車業界や電機業界などの製造業の衰退は著しく、人口減や高齢化も進む。日本経済の前提が大きく崩れている今、日本経済はどう転換すべきなのだろうか。野口悠紀雄氏が解説する。

「野口悠紀雄の「経済大転換論」」

⇒バックナンバー一覧