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安東泰志の真・金融立国論

銀行役職員への高額報酬は
正当化できるか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第24回】 2012年8月16日
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 今年5月17日、シティバンクが開催した株主総会で、取締役会が出した役員への高額報酬案が否決されたことは記憶に新しい。この総会議案では、バンディットCEOに対しては1500万ドル(約12億円)の報酬や、4000万ドル(約32億円)相当の慰留プランが提案されていたといい、この否決を受けて、同行取締役会は今後の対応を協議中としている。

 もちろん、この動きの情緒的な背景としては、「ウォール街を占拠せよ」に代表される格差社会への批判もあったであろうが、議決権行使助言会社のISSや年金基金などの大株主も歩調を合わせたと言われているだけに、銀行幹部の高額報酬に対する批判はこれからも続くと思われる。

 ところで、今般の株主総会決議は、連載第3回で詳述した米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)の951条に規定されたもので、CEO、CFO、及びその他高額の所得を受けている3名を対象に、定期的にその報酬の承認決議を求めているのだ。世界的に”Say-on-pay”とも言われているものである。

 今回は、金融機関、特に銀行の高額報酬を巡る世界的な規制の方向性と、その論点について考えてみたい。

銀行の高額報酬規制
英国で始まり世界的議論へ

 銀行の高額報酬規制は、09年9月のG20で議論された後、同年11月、英国で発表された金融機関改革の報告書が「金融機関の従業員が目先の収益に貢献しても将来は損失を蒙るような高リスクの投融資に傾斜したことが08年の金融危機の引き金になった」との見方を示し、この報告書を受けて英財務省が賞与を長期の収益に連動させ、その一定以上を数年にわたって繰り延べることや、年収が100万ポンド(約1億2000万円)以上の従業員数を開示させることなどを柱とする報酬規制を、2010年度から導入すると発表したことに端を発する。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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