驚嘆すべき「本物の」電子政府

 私は、2004年から05年にかけて米国スタンフォード大学に客員教授として1年間滞在したが、スタンフォード大学から支給された給与に関して、連邦税および州税を納税した。アメリカの制度では、給与支給時に源泉徴収されるが、最終的には確定申告をする。また、この所得は、日本でも確定申告のなかに含めて申告し、納税する(つまり、日本とアメリカに二重に納税することになる)。ところで、日本とアメリカの租税条約により、連邦税に関しては還付がなされる。

 私は、アメリカでの確定申告の手続きは、アメリカの税理士に依頼した。そして、しばらくしてから、確定申告の結果がどのようになったかを確認したいと思った。税理士に問い合わせたところ、「IRS(アメリカの国税庁)のホームページにアクセスすれば、すぐに結果がわかる」と教えられた。

 そこで、IRSのホームページにアクセスし、トップページの「Online Tools」にある「Where's My Refund?」(還付の結果照会)を開いた。そして、私の社会保障番号と還付請求額を入力する。すると、ただちに結果が表示された。そこには、「あなたの還付請求は請求どおり認められ、還付額に利子を加算した額を、**月**日に、**銀行の口座に振り込む」と書いてあった。

 アメリカの電子政府がきわめて優れたものであることは知っていたが、それを実際に見て、私は心の底から驚いた。アメリカの確定申告者総数がどの程度なのか、正確なところは知らないが、数千万人であることは間違いない(たぶん、1億人近いはずだ)。その1人ひとりに対して、このような通知が行なわれているわけである。しかも、実に簡単な手続きで、簡単に結果を知ることができる。

 一体、どのような体制でこのシステムが運営されているのだろうか? 情報処理に関するアメリカ政府の実力を、まざまざと見せ付けられた思いであった。

リアルタイムの
待ち時間表示まである

 実は、それより前に、アメリカの電子政府の実態には触れていた。それは、自動車免許を取得したときである。カリフォルニア州の場合、DMV(自動車局)にアクセスする。

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野口悠紀雄 [早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『「超」整理法』シリーズ、『資本開国論』『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』等がある。 野口悠紀雄ホームページ

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