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「安いからソニーにしよう」ではなく
「この値段でも買いたい」を目指す
――ソニー・コンピュータエンタテインメント取締役
兼ソニーマーケティング社長 河野弘氏インタビュー

石島照代 [ジャーナリスト]
【第33回】 2012年8月29日
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河野 もっといえば、私は、ビジネスは明確にお互いにメリットがあるものでなければいけないと思っていますので、Win-Winの関係を作れるように、プラットフォームホルダーとして、やるべき課題はたくさんあると思います。

PS Vitaは「この値段でも買いたい」と思ってもらえるよう、
マインドシェアアップに取り組む

石島 プラットフォーム戦略といえば、先日ドイツで開催されたゲームコンテンツイベント「gamescom(ゲームスコム)」で、スマートフォン(高機能携帯電話)にもゲームを配信するサービス「プレイステーション モバイル」に関する発表をしましたね。これは、プレイステーションのソフトの財産を軸にした展開のようですが、具体的にはどのようなものでしょうか。

河野 「プレイステーション モバイル」は、今秋から専用コンテンツを日本や米国、カナダ、英国など9ヵ国で配信開始し、順次対象国を拡大予定です。対応端末はPS Vita、ソニーモバイルコミュニケーションズのスマートフォン「エクスペリア」シリーズ、ソニーの“Sony Tablet”、HTC、ASUS、WikiPadの端末などを予定しています。パートナーさんに、ビジネスチャンスの広がりを感じてもらえるようなサービスにできればと考えています。

石島 「プレイステーション モバイル」はスマートフォン市場開拓に熱心なソフトメーカーにとってはよい話になりそうですね。というのも、私自身PS Vitaはいいハードだと思いますが、ソフトメーカーサイドからすると、価格戦略に難があるという声も根強いからです。

河野 ソニーグループの商品は、「安いからソニーにしよう」って言われるようではダメだと思っています。マインドシェア、つまり「ソニーの商品が欲しい!」って言ってくださる人が7割、でも「ちょっと手が届かないなぁ」っていう人が3割。このバランスが一番いいパターンだと思うんです。

 最悪なのはマインドシェアとして「ソニーでいいかな」って人が2割で、実際のシェアが3割。これだと利益も出ないし、ブランドが上がらないですよ。わたしたちはブランドシェアをちゃんと取ることを目指している。それは、PS Vitaでも変わりません。「この値段でも買いたい」と思っていただけるような、PS Vitaの施策実施に全力を挙げたいと思います。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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