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任天堂「Wii U」の評価はなぜ割れたのか?
正常進化を遂げたソニー「PS Vita」との違いと
体感型ゲームを巡る日本と世界の広がる温度差

E3スペシャル後編

石島照代 [ジャーナリスト]
【第19回】 2011年7月12日
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 ゲーム業界最大のトレードショー「E3 (Electronic Entertainment Expo)2011」が米ロサンゼルスで開催されてから、はや1ヶ月が経とうとしている。今年は、任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」の後継機「Wii U(ウィー ユー)」やソニーの携帯ゲーム機「PSP」の後継機「PlayStation Vita (プレイステーション・ヴィータ)」の発表など大型ニュースが相次ぎ話題に富んだイベントとなったにもかかわらず、任天堂の株価は下がり続けるなどその後の盛り上がりはいまひとつだった。そこで今回のE3スペシャル後編では今年のE3について総括したい。

6月7日~9日、米西海岸のロサンゼルスで「E3」は開催された

 この原稿は「E3スペシャル後編」ということになっているので、友人・知人はもとより、編集長からも大変紳士的な催促のメールを頂戴していた。にもかかわらず、後編を書くのが遅れたのには理由がある。例年以上、E3後の情報収集と分析に、時間がかかったためだ。

 まず帰国してびっくりしたのが、任天堂の新型ゲーム機「Wii U」に対する株式市場での低評価だ。この“空気感”は、ソニーが2006年に「PS3」の価格を6万2790円と発表した後のそれによく似ているが、今回はまだ価格を発表したわけではない。国内でコンセプトビデオをご覧になった皆さんの「すごく期待していたのに、アップルみたいなタブレット?」というガッカリ感も分からないではないが、会場で実際に触った筆者としては「触るまで、判断を保留されてはどうですか?」と申し上げたい。

 その理由を述べる前に、業界関係者(開発系、非開発系)100人に、Wii U とPS Vitaについて聞いたアンケートの結果を紹介したい(下図参照)。なお、回答者には任天堂とソニー関係者は含まれていないこと、また回答者の中には実際にE3会場に行った関係者もわずかではあるが含まれていることを留意して欲しい。

「PS Vita」も「Wii U」も業界内は好評価
「PSP」の正常進化を遂げた「PS Vita」は
ビジネス面での安定感が魅力

 結果としては、両ハードとも業界内の反応は好意的だった。両ハードとも回答者の4分の1が「すごく遊びたい」と答えており、「まあまあ遊びたい」を含めれば回答者の6割が、Wii UとPS Vitaで遊んでみたいと答えている。回答者の性質上、さすがに「タダでも遊びたくない」はゼロだった。「分からない」を選択した人の理由は「まだ見ていないから」が多かったのだが、それ以外の回答例を紹介する。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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