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森信茂樹の目覚めよ!納税者

歳出だけでなく
歳入(税制)にもある「ばらまき政策」

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第34回】 2012年9月5日
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「ばらまき政策」とは
どういう政策か

 財政政策を評価する際に、キーワードともいえるのが「ばらまき政策」だ。何が「ばらまき政策」なのかについて、明確な定義があるわけではない。しかし大方のコンセンサスのある定義は、「政策的な意義が明確でなく(あるいは時代に合わなくなっており)、相当規模の財源を使うものの、効果の薄い(あるいは全くない)政策」とでも言えようか。

 かつて、昭和の3大バカ査定と言われた、戦艦大和の建造、伊勢湾干拓事業、青函トンネルはすべて公共事業であった。公共事業のばらまきが批判されるようになると、社会保障の分野でのばらまきが始まった。極め付きは、地域振興券とか定額給付金など、現金を直接国民に配る政策である。竹下登総理(当時)が、「ふるさと創生事業」として、全国の市町村に一律1億円をプレゼントしたこともあった。

 とりわけ民主党政権になって、3Kと呼ばれる政策がばらまきのやり玉に挙がった。改めて説明することもないが、子ども手当、高校授業料無償化、農業者戸別所得補償制度の三つである。

 これらに共通する批判は、財源規模が相当大きいこと(数千億円以上)、給付の基準に所得制限がなかったり、改革を促すインセンティブも欠けており節度がなく、政策効果がそれほど期待されない、という点であった。

予算書に出てこない
歳入のばらまき政策

 これまであげた実例は、すべて歳出措置(歳出予算)つまり支出である。一方で、歳入(収入)面でも「ばらまき政策」が存在している。歳入面のばらまき政策というのは、減税措置(税制)のことであるが、予算書に出てこないので、なかなか気が付きにくい。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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