25年度予算「29年ぶり国会修正」で成立確実、財務省“最強伝説”は遠い昔Photo:JIJI

2025年度予算修正案、衆院で可決
“財務省解体デモ”は時代錯誤

 一般会計総額115兆円余りの2025年度予算の修正案が関連の税制改正修正法案とともに3月4日、衆院を通過し成立が確実になった。

 少数与党体制の下、与野党政策協議などを経て高校授業料無償化や「103万円の壁」見直し、財源修正など、野党の要求を一部、反映して、当初予算では1996年以来29年ぶりとなる「国会修正」が行われた。また減額は70年ぶりとなる。

 今国会での予算成立を最優先する石破政権と与党の自民・公明両党は、昨年末以来、「103万円の壁」打破を掲げる国民民主党との所得税課税最低限引き上げや日本維新の会との高校授業料無償化を巡る協議を続けてきた。

 こうした与野党協議で、野党の要求が取り込まれることで歳出が膨張する懸念が言われる一方で、相変わらず強く吹き荒れたのが、財務省批判だ。

 財務省の正門前には、日の丸や旭日旗を掲げた“デモ隊”が押しかけ、「財務省解体」を叫び、SNSでは「#財務省は国民の敵」などのハッシュタグを付けた投稿がされ、財務省のホームページにも批判が寄せられた。

 批判が急増したきっかけは、「103万円の壁」見直しだ。国民民主党が求める103万円から173万円への基礎控除の引き上げは7兆~8兆円の財源が必要だが、それに反対するのが財源に固執する財務省なので「解体」しろという論理になるようだ。財務省が政治を動かしている黒幕だという認識がある。

 だが、財務省が本当に政治を凌駕する力を持ち、緊縮財政を続けてきた結果、「失われた30年」や今の日本経済の姿があるのだろうか。

 石破政権発足後の1月に公表された「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府)の財政赤字悪化の要因を見ても、“財務省最強伝説”ははるか昔のことだとわかる。