大学やビジネススクールでは教えてくれない
「東芝の4次元モデル分析」

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 過日、赤坂アークヒルズに入居する大手法律事務所を訪ねた。東京メトロ南北線から地上の歩道に出たとき、六本木から赤坂までの、あまりの人気(ひとけ)のなさに違和感を覚えた。勤務時間中なのだから、外を歩く人が少ないのは当然なのだが。

 昼休み時になればビルから人が掃き出されて、街はごった返すのだろう、と考えるのは誤りのようだ。実際は、そうでもなかったりする。ネックになるのは、エレベーターだ。

 シチズンホールディングスの「意識調査」によれば、「エレベーター待ちでは6割強が『30秒』待たされたらイライラ」を感じるという。高層階から地上に下りてくることを億劫だと考える人は、かなりの数にのぼるようだ。

 エレベーターから掃き出された人の多くは、ビル内の飲食店で食事をすませようとする。オフィスに弁当を持参してきた人は、ビル内のコンビニで飲み物を購入して、そそくさと高層階へと戻る。ビル内部のフロアは人でごった返していても、ビルの外は常時、無人の街並みだ。

 アークヒルズの高層ビルは、地上37階建て。隣にある六本木ヒルズの高層ビルは地上54階建て。もし、30階のフロアにいたとするならば、地上に下りるまでには約100メートルの距離を要する。

 100メートルなど、エレベーターに乗ればあっという間ではないか、と思われるかもしれない。しかし、先ほど紹介したように、エレベーター・ホールで待つ時間や、エレベーター内でじっとしている時間は、人の心の中では「距離」に換算される。

 頭の中で観念的に想像している「距離感」と、現場で実際に経験する「距離感」とは異なる。観念で考えようとすると、「次元が1つ減る」ようだ。

 インターネットの地図情報に慣れた人は、「2次元平面図」で距離を測ろうとする。しかし、現実は「高さ」を加えた「3次元世界」だ。エレベーターで上り下りすることが、如何に面倒なものであるかは、平面図を眺めていただけではわからない。

 街並みが閑散としているのは、オフィスビル周辺に限ったことではなく、超高層マンションでも同様の現象を確かめることができる。マンションが林立しているところは、人口密度が高い。しかし、商店街の賑わいは、それほどでもない。都市計画というのは、頭で考えるほどには、うまくいかないようだ。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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