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森信茂樹の目覚めよ!納税者

「資産税の強化」と「給付付き税額控除」
日本維新の会の税制を吟味する

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第35回】 2012年9月24日
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 これまで維新の会の税制や財政政策については、維新八策を材料として、この欄で個別に検証をしてきた。今回は、税制に的を絞って、より深く検証してみたい。

 特色のある政策は、以下の4点である。

 第1に、資産課税の強化、2番目に、負の所得税(努力に応じた所得)とベーシックインカム(最低生活保障)、3番目に、フラット・タックス、4番目に消費税の地方税化である。すでに3と4についてはこの欄で論じた(フラット・タックスは第25回、消費税の地方税化は第26回)ので、今回は1と2に重点を置いて論じたい。

資産課税の
強化は可能か

 維新八策は、個人の資産・ストックについて、いろいろな局面で重視する政策をとっていることが読み取れる。社会保障制度の分野でも、「所得と資産の合算で最低保障、所得と資産のある個人への社会保障給付制限」という記述がある。そしてその前提として、国民背番号制の導入、それを活用して「所得・資産(フロー・ストック)を完全把握する」ことをうたっている。

 個人の資産というと、金融資産以外に貴金属・書画骨董といった実物資産があるが、これらも番号付きで把握することを考えているのだろうか。この点について配慮すべきは、かつてグリーンカード制の導入時に生じた(と言われている)海外への資金・資産の逃避である。

 加えて、個人の金融資産残高ですら、完全把握するためには、過去にさかのぼってすべての預金通帳に番号を付けていく必要があるが、これは可能だろうか。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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