文化庁は、日本人の国語に関する意識や理解の現状をつまびらかにし、政府の国語施策の立案に資するとともに、市民の国語に関する興味・関心を高める目的で、1995年度から毎年、「国語に関する世論調査」を行っている。今年は、9月20日に、2011年度の調査結果が発表されたので、その内容を概観してみたい。

日本語能力は
ほぼ一貫して低下

 まず、「言葉の使い方について」であるが、日常会話で気を使っている人の割合は77.9%となり、7年前の調査より7.3%上昇している。他の人の言葉遣いなどが気になる人の割合も、7年前より4.7%上昇して75.7%となっている。日頃、言葉遣いで心掛けていることのトップ3は、「相手や場面に応じて敬語を使う 73.5%」「自分が言われて嫌なことは人にも言わない 69.8%」「汚い言葉や下品な表現は使わない 51.8%」であって、何れも過去の調査より増加している。

 次に、「日本人の日本語能力について」は、読む力が低下していると思う人の割合は78.4%(10年前より9.6%上昇)、書く力については87.0%(10年前より1.1%低下)、話す力については、69.9%(10年前より10.7%上昇)、聞く力については62.1%(10年前より5.1%上昇)と、書く力を除く全ての能力で低下していると思う人の割合が増加した。中でも、読む力や話す力が10ポイント前後も低下していることは、大いに気になるところではある。

「多様化する情報交換手段の日常生活への影響について」たずねたところ、トップ3は、「漢字を正確に書く力が衰えた 66.5%」「手紙や葉書はあまり利用しないようになった 57.2%」「手で字を書くことが面倒くさく感じるようになった 42.0%」であり、次点が「口頭で言えば済むことでも、メールを使うようになった 29.5%」であることを考え合わせると、インターネットの発展に伴なう電子メールの普及等が、国語にも大きな影響を与えていることがうかがえる。