
かつて上司の悪口といえば、「同僚や後輩と一杯飲みながら…」というのが定番でした。しかし多くの人が依然として、給与のベースアップどころか、雇用そのものへの不安感を持っているなか、バーやクラブで愚痴をこぼす金銭的な余裕がないという人も少なくありません。年齢的にいって住宅ローンや教育費の負担の大きい中間管理層の人々は、ある意味では社会的弱者といってよいかもしれません。
かといって職場の事情を知らない家族に対して愚痴を言えるはずもなく、誰かに愚痴をこぼす機会が減っていることは事実です。実際、上司のストレスレベルが高くなっている傾向があります。
しかも、組織のフラット化が進み、上司の役割も大きく様変わりしています。かつては決裁や部下の指導といった「マネジャー」としての役割が主だったのですが、それに加えて、営業などの第一線に立って結果を残していくという「プレーヤー」としての役割も求められるようになっています。いわゆる「プレイングマネジャー」です。
自由に使えるお金が減り、飲みに行って愚痴をこぼすこともできず、一方で、職場では部下の指導にあたると同時に、プレイングマネジャーとして成果を求められる……。これはかなりの負担といえるでしょう。そうした日々の生活のなかでストレスがたまり、心の余裕がなくなっている人間が、もし自分の上司だったら……。想像しただけでも恐ろしいことです。
その意味で、ストレスを抱えた上司をいかにうまく「操縦」するかが、部下には求められているといえます。そしてそのためには、コーチングアップのスキルが必要なのです。
野球にたとえていえば、上司がかまえているキャッチャーミットが大きければ、あるいはそのストライクゾーンが広ければ、部下がいろいろなボールを投げても受け止めてもらえます。しかし、今はどんどん上司に余裕がなくなっていって、ストライクゾーンが狭くなっているわけです。
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