流通各社の中間決算発表が続く中、コンビニエンスストアとスーパーの明暗が鮮明になっている。景気の先行き不安などによる客数減を補うために激しい値下げ競争を繰り広げるスーパーを尻目に、コンビニは女性や高齢者へと客層を広げ、東日本大震災による特需があった昨年度を上回る成長を達成している。
「東日本大震災による特需の反動に加え、業種を超えた競争が激しさを増している」
ダイエーの桑原道夫社長は10月5日、中間決算の発表会見で悔しさをにじませた。
同社は赤字体質からの脱却を目指し、今年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画を策定。1年目に営業黒字化、2年目に経常黒字化と着実にハードルを越えてきた。だが、今年度の当期純利益黒字化(計画数値は10億円)という目標の達成は難しくなった。
今年8月中間期において、営業利益、経常利益、当期純利益はすべて赤字に陥った結果、今年度の通期見通しは、10億円の経常損失、50億円の当期純損失に修正。再生計画は、大きく後退することになった。
ユニーも、通期計画の大幅な下方修正を迫られた。営業利益は当初、前年度比3.2%増の454億円だったが、11.4%減の390億円に見直した。
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イトーヨーカ堂の営業収益は前年度比2.3%減の6572億円で、営業利益に至っては同88%減の7億円と、かろうじて黒字を維持しているにすぎない。
イトーヨーカ堂の不振により、コンビニエンスストア事業が好調であるにもかかわらず、セブン&アイ・ホールディングスの通期見通しは、営業収益で5兆0600億円から5兆0300億円へ、営業利益で3150億円から3080億円へと下方修正を余儀なくされた。
スーパー各社が不振な理由は大きく二つある。
一つは震災特需の反動である。昨年度は広告自粛に伴ってチラシなどを減らしたため販売促進費が減少。さらに生活必需品の特需によって、特売を減らしても販売が堅調だった。だが、今年度はこうした特殊要因がなくなった。