東日本大震災の大津波によって、児童・教職員84人という世界でも例のない犠牲者が出た石巻市立大川小学校。震災から1年半以上が経過したが、なぜこれほどの児童・教職員が犠牲にならなければならなかったのか、今もまだ真実は明らかになっていない。そうしたなか、9月下旬に文科省から事態の進展を促す働きかけがあり、事故の検証のための「第三者委員会」の設置に向けて、ようやく新たな動きが出てきた。

文科省が事故検証の試案を
市教委や遺族に提示

 東日本大震災で起きた石巻市立大川小学校での津波被災事故の検証に関して、9月下旬、文科省の動きがあった。

 大津市のいじめ自殺問題をきっかけに今夏発足した、文部科学省の「子ども安全対策支援室」の室長ら3人が、9月28日から29日にかけて石巻を訪れ、事故検証の試案を、石巻市教育委員会や遺族に示したのだ。

 第11回でも触れたように、子ども支援室のメンバーは、震災から1年半となる同年9月11日に、亡くなった児童の母親たちの訪問を受けた。その際、「(市教委との)話し合いをするところに、我々が中立的な形で入るとかが必要なのかな」と感想を語っていた。その言葉通りに、文科省側は事態の進展を図ろうと素早い対応をしている。

 これまでに市教委が提案した第三者委員会設置は、市の予算の執行には遺族の同意が必要で、事実上凍結されたままの状態となっていた(詳しくは第2回)。

 文科省の試案を示しての話し合いは、市側・市教委側、遺族会会長、遺族有志に対して、3回に分けて行われた。それぞれの場に、県教委からも次長以下2名が参加している。

 市側・市教委側との会合には、市教委の幹部のほかに、亀山紘石巻市長も冒頭だけ出席。亀山市長は、「検証をしっかりやっていきたい」「文科省に進めていたくことはありがたいことだ」と話していたという。