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3.11の「喪失」~語られなかった悲劇の教訓 吉田典史

「死人に口なし」の姿勢で復興や防災はあり得ない
“悲劇の真相”を見つめる旅は、今ここから始まる

――エピローグ~読者に託す「3.11の喪失」の検証

吉田典史 [ジャーナリスト]
【最終回】 2012年5月29日
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 昨年8~12月の連載『大震災で生と死をみつめて』の続編として、今年2月に始まったこの連載は、今回で最終回を迎える。意識の高い多くの読者に支えられ、ここまで辿り着くことができた。ありがたく思う。

 被災地で取材を続けると、腑に落ちないことがある。それは、「人災」の疑いがあるような場合でも、死に至った理由や経緯が実に曖昧なまま扱われていることだ。死に目を向けない形で「復興」は進んでいく。

 果たして、それでいいのだろうか。この連載で筆者が述べ続けてきたことのベースには、全てこうした現状に対する疑問があった。

 最終回では、その一例を取り上げ、改めて問題意識を提起したい。


死の真相から目をそらしたまま
今後の復興や防災はあり得ない

日和幼稚園に通っていた園児の遺族たち。子どもが死に至った経緯を知るために、独自の調査を続ける。

 連載第14回で紹介した日和幼稚園(石巻市)の遺族である西城靖之さんが、このように語っていた。

「確かに、津波で子どもたちは死に追いやられたのだと思う。その意味では、自然災害なのだろう。だけど、こちらが知りたいのはそれ以前のこと……」

 この言葉の意味するものが、今回の震災をよく表している。筆者が1年数ヵ月、震災をテーマに取材をしてきた理由もここにある。

 「1000年に1度の災害だから、被害が大きくなったのは仕方がない」という言葉に象徴される世論や空気によって、多くの犠牲者が出た真相が覆い隠されているように思える。真相がわからないまま、今後の復興や防災はあり得ないのではないか。避難訓練などをしようとしても、死に至った真相が見えないと、住民や子どもたちは真剣には取り組まないだろう。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


3.11の「喪失」~語られなかった悲劇の教訓 吉田典史

東日本大震災からもう1年が経とうとしている。人々の記憶も薄らぎ始めた。しかし、国の復興対策はなかなか進まず、被災者・遺族の心の傷も癒えない。3.11がもたらした「喪失」は、日本人にどんな教訓を投げかけているのか。日本が真の復興を遂げられる日は来るのか。その問いかけをまだ止めることはできない。いや、止めてはいけない。遺族、医師、消防団員、教師、看護士――。ジャーナリストとして震災の「生き証人」たちを取材し続けた筆者が、様々な立場から語られる悲劇の真相を改めて炙り出す。

「3.11の「喪失」~語られなかった悲劇の教訓 吉田典史」

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