中国嫌いが増えたのは
THAAD配備による報復以降

 韓国人の中国嫌いが急速に広がったのは2017年、在韓米軍基地にTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を配備することに伴う中国による報復からである。

 中国は韓国製品に対する大々的な不買運動を繰り広げた。特に、THAADの配備用地を提供する方針だったロッテのインターネット通販サイトを閉鎖に追い込み、多くのロッテ系百貨店やスーパーが閉鎖。現代自動車などの販売も大きく落ち込んだ。

 さらに中国は韓流文化に対する規制を行った。中国でも韓流テレビ・ドラマは人気であったが、放送の中止などが広がり、ほとんど放送されなくなった。韓国芸能人のメディアへの露出も制限した。

 また、中国人の韓国への渡航を制限して、観光分野の交流も大幅に減少した。

 こうした中国の対応に反発したのが、韓国の一般大衆である。

 韓国の現代グループ系のシンクタンク峨山政策研究所が2017年3月に発表した好感度調査において、中国に対する韓国人の好感度が日本を下回り、下から2番目となった。

 その時期は日韓関係も良くはなく、両国の慰安婦合意に関する見解の相違が露呈していた時期であり、日本に対する好感度も下がっていた。だが、中国の好感度下落はそれを上回ったということである。

 しかもこの時期は文大統領が就任したばかりであり、世論の支持率は80%を超えている時期であった。文政権は中国に対する配慮を怠らず、中国にすり寄る姿勢を見せていたが、これだけ高い支持率をもってしても、韓国国民の中国に対する反感を和らげることはできなかったということである。

 こうして見ると中国に対する韓国人の反発は一過性のものではなく、長年にわたる中国の韓国に対する横柄な態度に根付くものであるといえる。

 ちなみに中韓の関係悪化によって、韓国の芸能産業は日本市場を一層意識するようになった。